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「......俺のこと、もう好きとかの気持ちはないってことなん？」
その一言を聞いて、なぜかわたしが悔しい、と感じていた。
こんなに優しくて、かっこいいひとなのに。
電話の向こうにいるあなたは、そんな人を好きにできる称号を持っているのに。
わたしなら絶対、先生のことを捨てたりしない。
(......って、何考えてんの)
わたしが先生とそんな関係になれるはずがない。だって、先生といち生徒なんだから。ちょっと距離が近いだけ。
そしてあれこれ考えているうちに話は進んでいたようで、
「……わかった、別れよ。おん。もう連絡せえへんから。…え？いや、気にせんでええよ。うん。じゃあな」
社会科室に沈黙が訪れた。
というか、ここでこのまま待っていたら電話を盗み聞きしていたことがバレてしまう。せめて今来ました感は出さないと...
と、本棚の手前から撤収しようとしたら、机に盛大にぶつかってしまう。
「痛っ」
「...誰かおるん？」
そうなってしまえば狭い社会科室では逃げる隙もなくて。
「…………A？」
「あの、テストの、採点ミス、で。今、きました」
「…そっか。ありがとうな」
なんとかごまかせただろうか。間違っていたバツ印を丸に訂正して、直した点数を先生が名簿に書き込んでいく。
すぐ横のマグカップには、ブラックコーヒーが入っていた。
「...コーヒー、飲むんですか」
「せやね。甘いもん苦手なんよ俺」
そう言いながら名簿を閉じた先生の顔は、いつもより少しだけ暗く見えて。
やっぱり、ダメだ。
あなたのことを、独り占めしたい。
「先生」
「ん？どないしたん」
「浮気されたんですか」
「......聞いてたなら最初からそう言えや」
「ごめん、なさい」
「べつに怒らへんよ。ここで電話してたんは俺やしな」
「...彼女さんのこと、聞いてもいいですか」
「ええけど。おもろくもなんともないで」
「いいです、それで。聞きたいだけなんで」
「...ま、とりあえず座りや」
促されて初めて座る、社会科室の椅子。立った状態で見回すときよりはるかに積み上がる資料が近く感じられて、改めてふたりきりの空間なんだということを感じた。
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灯莉(プロフ) - レモンさん» レモンさんはじめまして。最初からの読者様なんですね！ドラキュラ舘様、一本目ということもあってわたしも思い入れがあるストーリーなので嬉しいです。ありがとうございます(o´艸`) (4月20日 0時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - そして新作も楽しみです。 (4月19日 23時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 灯莉さんはじめまして。最初から読ませて頂きました。どのお話にもいろんな愛の形があるんだなぁと思いました。私は舘様のドラキュラのお話が大好きです。その後夢主ちゃんはどうなったのかも気になります。 (4月19日 23時) (レス) @page38 id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年3月25日 21時
