・ ページ27
連続失踪事件の最初の被害者は、私が通っていた幼稚園の元同級生。
私のことが好きだったけれどどう接したら良いか分からなくて、虫や砂を投げつけられた思い出のある男の子だった。
2件目は高校の部活の先輩。
当時その先輩が好きだったらしい私のクラスメイトの男の子と私が仲良くしていたのを妬まれ、強く当たられていた。
3件目は小学校の元担任。お前は優秀過ぎて教え甲斐がないと成績を減点されたりしていた。
そして4件目は、高田さん。
昨日、「『迷惑かけてんじゃないの？』と怒られた」と大介に話をしたばかりの、高田さん。
夫婦なんだから、こんな人生の思い出のひとつやふたつ、当たり前に話してきている。
つまり、大介はこれを全て知っているわけで。
「......みんな、殺したの？」
全身に震えが走ってうまく動かない唇で問いかければ、大介は当然のように「そうだよ！」と答えた。
「だって、Aのこと傷つけたから、」
「そんな理由で殺していいわけないでしょ？！」
反射で言い返した瞬間、大介の目の色が変わった。
「え、否定するの？俺はAを守りたいだけなんだけど...」
足元の赤黒い固まりなんて存在していないかのようにぐちゃぐちゃと踏み付けて、大介がこっちに近づいて来る。
後ずさっても、後ろは洗面所の壁で。
「こないで、やめて...！！」
持っていたビニール傘を横向きにして防御体勢を取れば、大介は恍惚とした表情を浮かべてその指先を伸ばしてきた。
「はー......その怖がってる顔も、俺大好き。最近見れてなかったからやっぱ興奮する」
血の臭いが漂うぬめついた指先が、頬の上を滑っていって、その手はやがて首筋をなぞりはじめた。
嫌な震えが背筋に走って、力の抜けた手から傘が落ちた。
大介は無くなった傘の分、距離を詰めてきて、ついにその両手が私の首を掴むように覆う。
「ま…って、くる、し、たすけ」
「苦しめてるの俺なのに、その俺にしかすがれない状況ってぞくぞくすんね、」
「...ぁ、っぐ、」
「苦しい？でも今のAめちゃくちゃかわいいよ。やば、好きすぎるかも」
「だ、...ぃす、け゛っ」
大介の両手がギリギリと首に食い込んできて、気道が塞がれていく感覚。
「あー、まじでかわいい。隅から隅まで全部俺のものだよ、A」
目の前がチカチカして、
喉から変な音が鳴り始めて、
大介の顔が見えなくなって────
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 409人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灯莉(プロフ) - レモンさん» レモンさんはじめまして。最初からの読者様なんですね！ドラキュラ舘様、一本目ということもあってわたしも思い入れがあるストーリーなので嬉しいです。ありがとうございます(o´艸`) (4月20日 0時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - そして新作も楽しみです。 (4月19日 23時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 灯莉さんはじめまして。最初から読ませて頂きました。どのお話にもいろんな愛の形があるんだなぁと思いました。私は舘様のドラキュラのお話が大好きです。その後夢主ちゃんはどうなったのかも気になります。 (4月19日 23時) (レス) @page38 id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯莉 | 作成日時：2024年3月25日 21時
