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頭が、痛い。
ズキズキとか、ピリピリとかそんなんじゃない。
まるで頭の中で何かが暴れているかのような痛み。
いたい、いたい......
「...っ！！」
そこでがばりと身体が起き上がる。
目の前に車が迫っていた映像は確かに覚えている。あの凄まじい衝撃と、地面にぶつかった痛みも。
けどここは確かに、わたしと蓮が住んでいる家で。
「...そうだ、蓮は？」
蓮の姿が見当たらない。あれからどうなってしまったのか。
不安になってベッドから降りようとすれば、ちょうど蓮が入ってきた。
「蓮！」
「Aさん......！良かった、起きたんだね」
「蓮、とりあえずお水もらってもいい？頭が痛くて」
そう伝えれば、蓮はきょとんとした顔で「ああ、そっか」と喋り出した。
「Aさんはまだその感覚がわかんないよね。
それは頭痛じゃなくてまだ機械が馴染んでないだけだから、ちゃんとメンテナンスすれば無くなるよ。だから水も飲まなくて大丈夫」
「......ん？」
蓮の言葉の端々から伝わってくる違和感───というか、明らかにおかしい単語たち。
機械が馴染んでないだけ？メンテナンス、って。
それらがどんな時に使われるか、わたしはよく知っている。
だって、もう長いこと一緒に暮らしてきたんだから。何を意味するかは、
「蓮、待って、あの」
お願い、嘘だと言って。
そんなわたしの願いも虚しく、蓮はにこにこして絶望の一言を告げた。
「Aさんはね、俺とお揃いになったんだよ」
わたしはもう、人じゃなくなってしまったの？
蓮に愛されて、確かに幸せだった生涯を終えていくものだと信じて疑わなかったのに。
今まで感じていた蓮の愛情が、ぐにゃりと歪んで形を変えていくのを感じた。
「これで、ずっと一緒にいられるね」
「蓮、まって、そんな、そんなこと」
「嫌なの？」
「え、」
「Aさんは、俺とずっと一緒にいられて、嬉しくない？嫌だった？」
「......わたし、は」
答えられないわたしには構わず、そのまま蓮にすっぽりと抱きしめられる。
「Aさん、愛してる」
「.........うん、わたしも」
蓮の肩に顎を乗せれば、その言葉から滲む怖さとは裏腹なぬくもりが伝わってきて、悲しさが込み上げて来る。
けれどもう、涙が出ることはなかった。
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灯莉(プロフ) - レモンさん» レモンさんはじめまして。最初からの読者様なんですね！ドラキュラ舘様、一本目ということもあってわたしも思い入れがあるストーリーなので嬉しいです。ありがとうございます(o´艸`) (4月20日 0時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - そして新作も楽しみです。 (4月19日 23時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 灯莉さんはじめまして。最初から読ませて頂きました。どのお話にもいろんな愛の形があるんだなぁと思いました。私は舘様のドラキュラのお話が大好きです。その後夢主ちゃんはどうなったのかも気になります。 (4月19日 23時) (レス) @page38 id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年3月25日 21時
