・ ページ12
彼が出てきた扉へ大声を張り上げれば、「おじさん」と呼ばれた人だろうか、40代くらいに見える男の人が出てきて。
「蓮くん？！...すみません、あなたは」
「いまお店に来たら、この人がなんか名前呼びはじめて、それで」
「...そうか。蓮くん、落ち着いて。バグが起きたか？」
「...や、多分、接触不良だと、思います、A、が」
「一回奥に戻ろう、直すよ。...お客さんも一旦、いいですか」
「は、はい.........」
もう、何がなんだかわからない。とにかくこの人について奥の部屋へと入るしかなさそうだ。
「......すみません、せっかくご来店いただいたのに」
ふたりがまた別室に入ってからしばらくして、後から来た男の人が先に戻ってきてお茶を出してくれる。
「いえ、大丈夫です。あの、さっきの方は」
「ああ、蓮くんなら今は一旦スリープモードになっているので。すぐ起きてくると思いますよ」
スリープモード、という言葉に引っ掛かる。もしかして、彼は。
「アンドロイド、なんですか」
「はい。正確に言えば、中身は、ですが」
「え.........？」
中身は、って。つまり、外はそうじゃないということで。
「きっと蓮くんが話をしたがると思うので、私からはこれくらいにしておきますが。
......彼は、私が昔に手をかけた、『半アンドロイド』なんです」
確かに、アンドロイドにしては動きの滑らかさや会話、表情の柔らかさが過ぎるとは思った。
でもまさか、そんなものが、いやヒトが？存在するだなんて。
驚きに言葉を発せないでいれば、ガチャ、と音がして、振り返ればさっきの彼が起きてきたようだった。
「.........おじさん、ありがと」
「いやいや。構わないよ。それより彼女にする話があるだろう、きっと」
「...はい。お時間、大丈夫ですか」
「......それは、大丈夫ですけど」
蓮くん、と呼ばれていたか。彼はわたしのすぐ近くの椅子に座り、ぽつりぽつりと過去の話をし始めた。
これが、わたしの今の彼氏、蓮との出会い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 409人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灯莉(プロフ) - レモンさん» レモンさんはじめまして。最初からの読者様なんですね！ドラキュラ舘様、一本目ということもあってわたしも思い入れがあるストーリーなので嬉しいです。ありがとうございます(o´艸`) (4月20日 0時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - そして新作も楽しみです。 (4月19日 23時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 灯莉さんはじめまして。最初から読ませて頂きました。どのお話にもいろんな愛の形があるんだなぁと思いました。私は舘様のドラキュラのお話が大好きです。その後夢主ちゃんはどうなったのかも気になります。 (4月19日 23時) (レス) @page38 id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯莉 | 作成日時：2024年3月25日 21時
