教師 × 生徒【橙】 ページ1
この学校の社会科室には、秘密がある。
誰も知らない、「ふたり」だけの秘密。
「Aー今日一緒に帰らん？」
「あーごめーん、今日はちょっと先生に聞くことあって」
「また社会科室ー？向井先生のとこ？」
「うん。この前返ってきたテストのわからへんとこ教えてもらいたくて」
「Aほんと地理だけは丁寧にやるやんなー」
「受験で使いたいんよ！みんなも数学とかバリバリやってるやん」
「まーそうやけどさ。じゃ先帰ってるわ、じゃなー」
「ん、ばいばーい」
3人が教室を出て行ったのを見てから、適当に地理の教科書やノートを手にとって社会科室へ向かう。
廊下ですれ違う先生たちは、わたしのことなんて全く気にしてない。
わたしが「あること」を目的に社会科室へ向かっているなんて微塵も思っていないのだ。
そう思えば、自分だけが知っている秘密に胸が高鳴る。
「失礼しまーす」
放課後、3時50分。
いつもの時間に社会科室に入れば、
「A？」
「康二くん、ひまー？」
「ひまー？て。暇じゃないに決まっとんやろ！笑」
爆速で返ってくる笑い声とツッコミに、わたしはこう返す。
「遊びに来た」
「......ええよ」
それが、いつもの合図。
その瞬間に周りの空気が一気に甘ったるいものになって、わたしはいつもこれに飲み込まれてしまうのだ。
「おいで、A」
「......ん」
広げられた腕に誘われるように、わたしは康二くんの膝の上に座る。
「で？今日はどうしたん」
「なんもない」
「ほんまに？なんもないのに来たん？」
「いつものことやん」
後ろからお腹に腕をまわされて、ぎゅっとくっつく。
「せやけど。いつもより暗ない？ほんまに大丈夫？」
「...大丈夫やないって言うたら？」
「そんなん決まってるやん。Aのお願いなんでも聞いたげるで」
「康二くん甘すぎ」
「Aがかわええのが悪いんよ」
この学校の社会科室だけは、わたしたちの秘密の逢瀬を知っている。
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灯莉(プロフ) - レモンさん» レモンさんはじめまして。最初からの読者様なんですね！ドラキュラ舘様、一本目ということもあってわたしも思い入れがあるストーリーなので嬉しいです。ありがとうございます(o´艸`) (4月20日 0時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - そして新作も楽しみです。 (4月19日 23時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 灯莉さんはじめまして。最初から読ませて頂きました。どのお話にもいろんな愛の形があるんだなぁと思いました。私は舘様のドラキュラのお話が大好きです。その後夢主ちゃんはどうなったのかも気になります。 (4月19日 23時) (レス) @page38 id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年3月25日 21時
