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渡辺先生の家は、学校から歩いてすぐのところにあった。
私に返してきてと言っておきながら「場所わかんないでしょ」と結局ついてくる深澤先生に連れられてマンションの前まで来る。
結構高級マンションといった雰囲気でびくびくしながらエントランスに近づけば、深澤先生は慣れた手つきでインターホンを触りはじめる。
そして誰と連絡を取っているのか、スマホを操作しながら先生は器用にインターホンに数字を入れて、「あ、なべー?今いるから来てー」と呑気に呼びかけた。
インターホンは無言のまま切れて、自動ドアが開く。
「よし、入ろ入ろ」
エレベーターで上がれば、廊下の向こうで女の人が家に入ろうとしているのが見えた。
あれ、あの部屋って、渡辺先生の......
その女の人が振り向く。
「.........なん、で」
先坂さんのお母さんだった。
彼女は私を認識した瞬間荷物を放り捨てて一目散にこっちに向かって来る。
「なんであんたがここにいるの...!!」
「っ、あ」
「おいやめろ!!手出すな!」
「離れてください」
その背後からは騒ぎに気づいて出てきた渡辺先生と、深澤先生がすぐさま彼女を引っ張って私から引き離そうとする。
それでも彼女はすごい力で私に掴みかかってきた。
「あんたのせいで!!あんたがいるから翔太はいつまで経っても私を見てくれやしないの!!!」
狂気を孕んだ目で見つめられて、本能的に危機感を感じた。
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るな(プロフ) - 対応ありがとうございます^ ^ (3月21日 12時) (レス) id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» ありがとうございます。修正致しました。 (3月21日 12時) (レス) id: 63f20e3e12 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 34ページ主の名前変更ならないです。 (3月21日 10時) (レス) @page34 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» るなさん、コメントありがとうございます。早くふたりがハッピーエンドを迎えられるようにわたしも願っております...!楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月16日 6時) (レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 相手の親キモすぎ。早く報われて欲しいです。間違ってでも保護者と一夜過ごしました。とか付き合いましたとかありきたりなのやめてほしい^ ^渡辺先生がんばれ (3月14日 12時) (レス) @page24 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯莉 | 作成日時:2024年2月23日 22時