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「というわけで、翔太は学校辞めません。
これからもモテモテ生物教師として仕事してもらうから」
「え、でも、先生は辞めたつもりなんじゃ」
「いい質問だね。そうそう、俺たちも忙しくてさ、翔太にまだ連絡できてないのよ」
「.......?あの」
発言の意図がよくわからなくて先生の顔を見れば、
白々しく深澤先生はあちゃー、と天をあおいでから「Aちゃん、手出して」と言った。
「...はい」
そして深澤先生は「何か」を私の手に乗せた。
「.......これ」
『...分かったよ、買えばいいんだろ。Aがピンクで俺が青な』
『私、青がいいです。綺麗な色してるし』
『ピンクが可哀相だろ』
『そんなに言うなら先生が貰ってあげればいいじゃないですか』
『はー、ああいえばこう言う。口が達者だな』
デートの日に買ってもらって、私が選ばなかったピンク色の鈴がついた鍵だった。
「...これ、って」
「そう!翔太の家の鍵でーす。いや、この前翔太ん家行ったときに持って帰ってきちゃっててさ。
今ね、俺のとこに鍵返せって超連絡きててさ、うるさいからAちゃん返してきてくれない?」
自分で返してきてくださいよ、とここで言うほど私も鈍感じゃない。
でも、先生は私のことを庇って...というか、私のことを守るために学校を辞めるという過酷な選択をする覚悟を決めたわけで。
その元凶のひとつでもあった私がいまさら、先生に会いにいっても、辛くなるだけじゃないのかな。
勇気が出せずに黙り込めば、深澤先生が困ったように言う。
「てか、もうAちゃん連れてかないとこの話終われないのよ。だから、ね?」
「.........ほんとに、私が行っていいんですか」
「Aちゃん"に"、来てほしいのよ」
そう言われれば、従うほかなかった。
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るな(プロフ) - 対応ありがとうございます^ ^ (3月21日 12時) (レス) id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» ありがとうございます。修正致しました。 (3月21日 12時) (レス) id: 63f20e3e12 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 34ページ主の名前変更ならないです。 (3月21日 10時) (レス) @page34 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» るなさん、コメントありがとうございます。早くふたりがハッピーエンドを迎えられるようにわたしも願っております...!楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月16日 6時) (レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 相手の親キモすぎ。早く報われて欲しいです。間違ってでも保護者と一夜過ごしました。とか付き合いましたとかありきたりなのやめてほしい^ ^渡辺先生がんばれ (3月14日 12時) (レス) @page24 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯莉 | 作成日時:2024年2月23日 22時