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そして、バイト初日。
「あれ、新人さん?」
「はい。こんばんは」
「へー、若いのに大変だねぇ」
「まだまだわからないことだらけなので、これから頑張っていきたいです」
「はは、やる気あっていいじゃないの。
じゃあ新人ちゃんの応援も込めて何かひとつ貰おうかな」
「承りました。ありがとうございます」
手元のメニュー一覧を見ながらジンフィズを作る。これが第1号になるのかと思うと少しくすぐったい。
「どうぞ。ジンフィズになります」
「お、ありがとう。......ん、いいね。クセのない綺麗な味だ」
「ほんとですか?ありがとうございます」
目の前でジンフィズを飲むおじさんにお礼を言いつつ向こうに広がるキャバクラのフロアに目をやる。
派手な衣装が照明の光を反射してキラキラ輝いていた。
このおじさんがさっき座ってたところってどこだろ...
と興味本位でおじさんの相手のキャバ嬢を探していた、その時。
「いらっしゃいませー、お荷物お持ちします」
「お、さんきゅ」
「......?!?!?!」
薄暗い照明だけど、すぐにわかった。
(渡辺先生?!)
ドアマンに荷物を預けてからこっちに歩いて来るのは、うちの人気生物教師、そして担任の渡辺先生。
やばいやばいやばい。やばいどころじゃない。もうとにかく、とんでもなくやばい。
うちの学校は本来バイト禁止なのだ。
私達の家庭の事情を鑑みて、一応校長に許可は貰っているもののそれはあくまで普通のファミレスだったからであって...。
もちろんまずいことをしているわけではないけど世間体的には良いとは言えない仕事。
こんな、おじさん相手にお酒を出しているなんてバレたら万が一ということも十分考えられる。
焦るわたしとは裏腹におじさんはのんびりと喋り続けるもんだから、頭はフル回転、心臓はバクバク。
かつん、かつん、と先生はどんどんカウンターに近づいて来る。
やばい、どうしようどうしよう!!
「やっぱ何でも新人って可愛く見えるもんなんだよねー、あはは」
「そ、うですね...」
かつん、かつん。
(もう、どうにでもなれ...!)
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るな(プロフ) - 対応ありがとうございます^ ^ (3月21日 12時) (レス) id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» ありがとうございます。修正致しました。 (3月21日 12時) (レス) id: 63f20e3e12 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 34ページ主の名前変更ならないです。 (3月21日 10時) (レス) @page34 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» るなさん、コメントありがとうございます。早くふたりがハッピーエンドを迎えられるようにわたしも願っております...!楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月16日 6時) (レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 相手の親キモすぎ。早く報われて欲しいです。間違ってでも保護者と一夜過ごしました。とか付き合いましたとかありきたりなのやめてほしい^ ^渡辺先生がんばれ (3月14日 12時) (レス) @page24 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯莉 | 作成日時:2024年2月23日 22時