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絶対傷ついただろうな。
大人っぽく見えて、本当は結構子供みたいなところが多い奴だから。
そんなAだということを分かっててわざと傷つきそうな言葉を選ぶ自分に嫌気がさす。
けど、これはAのためにやってんだ。
心の奥から沸いてくる感情に蓋をしてもう一度Aを見る。
「だからさ、Aのおすすめ最後に飲みたいんだよね。いっつも俺の気分でリクエストしてたし」
「...承りました」
震えた声でそう告げて、準備を始めるAをじっと見つめる。
こうやって働いてるの見るのも、もう最後なんだからこれくらいしたって罰は当たらないだろ。
足ほっそいなー...てか、指先もめっちゃ綺麗なんだよな。
シェイカーを振る細くて白い手首を見つめていたら、出来上がったカクテルがカウンターに置かれた。
あの日デートでAに買った鈴みたいな、ブルー。
なぜか俺にピンクを押し付けてきたあの可愛らしい笑顔を思い出す。
「俺見たことないわこれ。なんて名前?」
「ブルームーン、です」
「へえ。めっちゃいい青色だね」
「度数は高めなんですけど、甘めなのでこれくらいならさらっと飲めるかなと思って」
Aの視線を感じながら、勢いを緩めずに青い液体を飲み下す。
「ごちそうさま」
「...え、こんなに貰えません」
「おまけ。何か好きなもの買いな」
一万円札をカウンターの上に置いて、店を出てスマホを触る。
初めてAとここで会ったときも、Aが選んでカクテルを出してくれたなと思い出したのだ。
「..........離したくねぇのは俺の方だっつーの、」
余裕な顔は、最後まで保てていただろうか。
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るな(プロフ) - 対応ありがとうございます^ ^ (3月21日 12時) (レス) id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» ありがとうございます。修正致しました。 (3月21日 12時) (レス) id: 63f20e3e12 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 34ページ主の名前変更ならないです。 (3月21日 10時) (レス) @page34 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» るなさん、コメントありがとうございます。早くふたりがハッピーエンドを迎えられるようにわたしも願っております...!楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月16日 6時) (レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 相手の親キモすぎ。早く報われて欲しいです。間違ってでも保護者と一夜過ごしました。とか付き合いましたとかありきたりなのやめてほしい^ ^渡辺先生がんばれ (3月14日 12時) (レス) @page24 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯莉 | 作成日時:2024年2月23日 22時