22 ページ22
始まりは、Aとキャバクラで出会う少し前だった。
「...もしもし？」
『渡辺先生？やっぱりほんとだった』
「......すみません、どなたでしょうか」
『先坂です。先生の電話番号ゲットしたから試しにかけてみただけなんで、気にしないでくださいね！』
担任を持った先坂という生徒の保護者から、ストーカー紛いの行為をされるようになった。
この電話に出なきゃよかったと後悔しない日はない。
保護者会ですり寄って来られるのはもちろん、食事にまで誘われる。
電話番号がバレているからショートメッセージも送ってこられる。
本当に趣味のブランドのものが欲しかったから買った指輪も、もはやダミーとしての効果をもっと発揮してほしいとまで思うほどだった。
デートの日、Aにいい感じの服を見繕って着替えて来るのを待っているとき、かかってきたのも彼女からだった。
『もしもし、渡辺先生？』
「すみません今外出中なので」
『外にいるの？この前ご飯行こうって約束したから、今どこにいるかなって』
「......だから、そのような事実はないですし僕はあなたにそういうことを言った覚えはありません。
教師として普通のこと以上は言ってませんから。失礼します」
それから少し経った頃。
今日は授業がないしまだまだ小テスト採点に費やせるか...なんてことを考えながら、作業をこなしていた時。
「渡辺先生、少し話が」
「？あ、はい」
副校長に呼ばれて誰もいない印刷室に入る。珍しいな、話があるなんて。
まさか俺のキャバ通いの話か？
一瞬焦ったけど、Aにもいつか言った通り別にあそこは特段違法な場所では全くないし俺も未婚だから咎められる理由がない。
イメージダウンや見る目が変わるきっかけになるからバレないに越したことはないけども。
心当たりを列挙しながら副校長を見れば、何かを差し出してきた。
「今朝、生徒から預かったんですが」
「.......うちの生徒、ですね」
見せられた一枚の写真に写っていたのは、キャバクラのゴミ捨て場にいる女の子。
間違いなくAだった。
「宮舘さん、バイト先の申請はファミレスなんですが」
「...あー、そうですね」
考えろ俺。とりあえず副校長の尋問は何が何でもかわさなきゃいけない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 485人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るな(プロフ) - 対応ありがとうございます^ ^ (3月21日 12時) (
レス) id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» ありがとうございます。修正致しました。 (3月21日 12時) (レス) id: 63f20e3e12 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 34ページ主の名前変更ならないです。 (3月21日 10時) (レス) @page34 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» るなさん、コメントありがとうございます。早くふたりがハッピーエンドを迎えられるようにわたしも願っております...！楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月16日 6時) (レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 相手の親キモすぎ。早く報われて欲しいです。間違ってでも保護者と一夜過ごしました。とか付き合いましたとかありきたりなのやめてほしい^ ^渡辺先生がんばれ (3月14日 12時) (レス) @page24 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月23日 22時
