カクテルに、「好き」をひとつまみ。【青】

15 ページ15

「沖縄ご当地コーナー...？」




１階の空き店舗スペースを利用して沖縄の名産品が販売されているのを見て、足を止める。



「なんか欲しいもんあんの？」


「特にこれっていうのがあるわけじゃないですけど。


ほら、こういうのってなんか可愛いものあったりするじゃないですか！」


「おーおー、好きなだけ漁ってこい」



ゴーサインが出たので並べられた食器やぬいぐるみを端から見て回る。


ちょっとブサカワなシーサーのぬいぐるみや、有名キャラクターの沖縄バージョンのキーホルダー。


ご当地ものあるあるな商品が並んでいる中、あるものに目が留まる。




「......きれい」



「開運お守り」なんてそれらしい名前がついた鈴のストラップ。


薄い青色と淡いピンクがセットになっていて、触ってみればシャラシャラと澄んだ音が鳴った。




「先生」


「いやだから先生やめろって。今度はどした？」


「これ、かわいくないですか？」


「へー。...お、いい音すんね」


「ですよね」


私の隣に来た先生は、同じように鈴を鳴らして少し驚いたように感想をつぶやく。



「.........なに？」


「.........なんだと思います？」


その目を見つめれば何かを察したようにちょっとだけ眉根を寄せるから、面白くてより見つめてしまう。



「...分かったよ、買えばいいんだろ。Aがピンクで俺が青な」


「私、青がいいです。綺麗な色してるし」


「ピンクが可哀相だろ」


「そんなに言うなら先生が貰ってあげればいいじゃないですか」


「はー、ああいえばこう言う。口が達者だな」




「そんな言い方はなくないですか？"彼氏"なのに」



してやったり。



レジに向かおうとする先生の背中に呼びかければ、足を止めて振り返る。



「大人ぶってんなよ、まだ17歳のくせに」



余裕そうな表情で私の腰にするりと腕をまわしたかと思えば引き寄せられて、おでこに何かが触れる。





「...！！」


「はい、お子様は玩具でもゲットして満足してな」




(そんなこと言うなら、キスなんてしないでよ......！！)

16→←14

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す