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「っ……!!」
向かい側から歩いてきたおじさんが、不意に進路を変えてぶつかってきた。
幅の狭い慣れないスカートではすぐに足がもつれてしまって、体が傾いた。
ぱしゃん、と乾いた音が響く。
転んだ先は道端の大きな水溜まりで。
「…………わ、かわいそ」
「ぶつかりおじさんってほんと無理だよな」
「えーどうする?なんかハンカチとか」
「いやいやいいよ、ハンカチでどうにかなるレベルじゃないし。行こ」
ぶつかったおじさんは当然どこかへ消えてしまったし、周りは「可哀想」という視線だけを向けてきて歩いていくだけ。
ちょっとだけ涙が出そうになって、唇を噛み締めてぐっとこらえる。泣いてどうすんだ、私。
転んだ拍子に手から離れて行った傘を拾い上げ、道の端に寄って自分の状態を確認する。
デニムのスカートは雨水が染みて、ほとんどが濃い色に変わってしまっていた。
(どうしよう.........とりあえずこのままじゃ行けないし、でも先生を待たせることになっちゃう)
乗り換えしてから乗るのはたった2駅で、さっきのメッセージから察するに先生はもう着いているんだろう。
そうして考えて出した答えに、スマホを取り出してチャットを開く。
Aごめんなさい、ちょっと急用ができて今日は行けなくなっちゃいました
Aせっかく誘っていただいたのにすみません
立て続けにメッセージを送ったらすぐ既読がついた。
ほっとしたのもつかの間、私が電源を落とすより一瞬早く手の中でスマホが震えはじめる。
「…えっ」
先生からの電話だった。
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るな(プロフ) - 対応ありがとうございます^ ^ (3月21日 12時) (レス) id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» ありがとうございます。修正致しました。 (3月21日 12時) (レス) id: 63f20e3e12 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 34ページ主の名前変更ならないです。 (3月21日 10時) (レス) @page34 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
灯莉(プロフ) - るなさん» るなさん、コメントありがとうございます。早くふたりがハッピーエンドを迎えられるようにわたしも願っております...!楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月16日 6時) (レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 相手の親キモすぎ。早く報われて欲しいです。間違ってでも保護者と一夜過ごしました。とか付き合いましたとかありきたりなのやめてほしい^ ^渡辺先生がんばれ (3月14日 12時) (レス) @page24 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯莉 | 作成日時:2024年2月23日 22時