カクテルに、「好き」をひとつまみ。【青】

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「ねえお兄ちゃん、私やっぱりバイト増やすよ。それか大学、」


「ダメ。それ以上言ったら怒るよ」



進学諦めるよ、と言いかけた私をお兄ちゃんが食い気味に遮る。



「.......なんで？」


「なんでじゃないの。Aが大学生になる頃には俺は就活始めてるし、


普通に社会人として稼ぎが入るようになるからそれまでの辛抱」


「でもお兄ちゃんの勉強時間減るのも嫌だよ」


「俺はいいの。ていうかそんなにきつくないから」


「..........でも、」


「ごめんね？A、心配してくれたのは嬉しいよ。


けど高校生活はほんとに一瞬だから、俺はその大事な時間をAに満喫してほしい」




ほら早く座って、食べるよとお兄ちゃんがわたしの椅子を引いたから、この話はそこで終わってしまった。







お兄ちゃんはまだ中学生のときからずっとわたしの面倒を見るという責任が常について回っていた。


学校のことや友達関係のことで助けてくれたことも数えきれない。


高校生活は大事な青春だけど、大学生のうちに楽しめることだっていっぱいあるはず。


焼き魚をお箸で崩しながら、わたしはもっと稼げるバイト先に変えようとひそかに思案しはじめた。









ご飯を食べてすぐにバイト先に「一身上の都合で来週で辞めさせていただきたいです。」


と連絡をして、さすがに違法なことには手を出したくないので高校生でもできる高給バイトを検索する。




「......これだ！」

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