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それから、５年。
気候も言葉もまるで違うこの国にたどり着いて、孤児院のおばあちゃんに拾われてからはここでスタッフとして生活をしている。
姫として扱われていた人生はもちろん幸せではあったけれど、小さな子供たちのために身を粉にして働くここでの日々も同じくらい有意義で楽しい毎日だった。
買い物の帰りに、おばあちゃんがふと口にする。
「...今日でもう５年も経つのねぇ」
「そうだね」
「Aちゃんもこんなに綺麗になったんだから、まだ迎えに来ないなんていつまでのんびりしてるつもりかしら」
「...ふふ、ありがとうおばあちゃん」
「かわいい孫みたいなもんなんだから！遠慮なんていらないのよ」
「もちろん」
おばあちゃんには、翔太のことも話してある。こうしてたまに、ふたりでゆっくり思い出を語ることもある。
「見てみたいわぁ、ほんとに。Aちゃんがそれだけ好きなんだから、すごいイケメンなんでしょうね」
「イケメン...というか、なんだろう、万人受けする顔ではあるかも笑」
「あはは！Aちゃんってば、意外と辛辣なとこあるわよねー！」
「翔太と一緒にいたせいで性悪がうつったのかも笑」
「やだーもうAちゃん面白いわねー。あっそうだ、お肉足りないからおつかい頼んでもいい？」
「もちろん！どれくらい？」
「えーっとね...あ、お砂糖と卵もないんだった！」
「メモ！おばあちゃんメモして！」
「はいはい、分かってるわよ」
そしていつものようにそんな思い出話は一転、すぐに慌ただしい会話に切り替わる。
おばあちゃんからのメモを受け取って、買い物袋を片手に街を歩いていた。
(......孤児はだいぶ減ったけど)
街にはまだ、戦争の被害が残っているところがある。最近は孤児院の子たちも少しずつ里親が見つかってきたけれど、まだまだ数は多い。
一国のお姫様として生きていた時とは比べものにならないくらい、世界の現実を見てきた。
わたしにできることから、助けになりたい。
そんなことを考えながら歩みを進めていた、その時。
「すいません」
後ろから声をかけられて、振り返った。
「............え？」
「...迎えに、来た」
５年前と変わらない大好きな人が、そこに立っていた。
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灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます！作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...！全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月17日 16時
