騎士 × プリンセス【青】 ページ37
「翔太、今日は面白い話ないの?」
「無いからさっさと寝ろ」
「つまんないの」
「うるせえ。Aが布団入ってくれないと俺戻れないんだから早く寝ろ」
「ちぇー」
じゃあ、寝なかったらずっと一緒にいてくれるの?
そう訊きたい気持ちを飲み込んで、今日もベッドに潜り込んだ。
翔太は、わたしの5つ年上の幼なじみ。
わたしが生まれた時からずっと一緒にいる、何もかも知ってるような相手。
そしてわたしと翔太の関係には、もう一つ名前があって───────
「じいや、状態はどうなの?」
「膠着状態、というところですね。今のところ大事には至っていませんが」
「......戦争には、ならずに済むかな」
「そのように心配なさらないでも、翔太様は姫様の専属の騎士なんですから戦地に赴くことはありませんよ」
「そ、そんなこと気にしてないよ!だいたい、翔太は嫌なことははっきり嫌って言うから、
『俺は専属だから戦争には行きません。以上』とか騎士団長に言うに決まってるし!」
「...そうでございますね」
3年前、翔太が17歳になったとき、翔太はわたしの専属騎士になった。
専属騎士というのは、その名の通り国の姫君に必ずひとりつく騎士のことで、騎士団の中でも腕の立つ者があてられることが多い。
訓練に出向く時間は従来よりずっと少なく、基本的に姫君と1日一緒にいて朝から晩まで護衛としての任務を務める。
翔太はあの適当そうな雰囲気や天然みたいな発言とは裏腹に、その腕前はかなりのもの。
幼なじみという関係性もあり、誰の不満もなくわたしの専属になったのだ。
だから本来、専属騎士というのは姫君には懇切丁寧な態度を取るものなんだけれど、
それは幼なじみの時間が長すぎて気持ち悪かったからやめてと頼んである。お父さんも了承してくれているし。
「それに、戦争は何も生まないからすべきではないと思うの」
「......国王様のご判断が、姫様にとって良いものであることを願うばかりですね」
この国は今、多くの国の緊張状態に巻き込まれている。
元々は良い政治体制の国で、国内の治安こそ良いものの外国との軋轢はかなりある。
大きな国ではないから戦争なんて始まってしまえば、どうなるかなんて明白。
それに、戦争で大切な人を失うのは誰だって嫌だ。
わたしはずっと、翔太に恋をしている。
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灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます!作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...!全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯莉 | 作成日時:2024年2月17日 16時