・ ページ32
そして強制的に自宅に送り返されて実質的な軟禁を強いられて一週間。
自宅に送られてくる報告書によって、だいたいの概要は掴めた。
報告書というのは、定期的に私のもとに届けられる今回の件についての説明のようなもので、
お父様の食事に毒性のある薬が混ぜられていたのに食べる前にぎりぎり気づき、メイド長を中心とした使用人たちの調査により犯人が私だと決定した経緯までが書かれていた。
メイド長やそのほかメイドたちが私を排除しようとしたことに違いない。
お父様はもとよりかなり頭の固い人間で、一度信頼した使用人の言うことを鵜呑みにする傾向がある。というかほとんどそうなのだ。
おおかた、調査してきました！というていで最初から仕組まれたものだったのだろう。
嫌がらせには慣れているから別に構わない。
問題は、これが処罰を伴うものであることだった。
いま私が謹慎させられているのは、向こうが私の処遇について話し合ったり、私に罪を認めさせる算段を計画したりしているのだろうと思う。
王族を手に掛けたなんて罪、確定すれば良くて死罪............
どうしよう。逃げるか？いや、国相手に逃亡なんてかなり無理のある話。
けどこのままじゃ私の冤罪が本物として確定して牢獄直行だ。
なにか、解決策はないの...？
その時。
バンバンバン！！！
大きな音が鳴って、家のドアが外から叩かれていることを理解する。
「なっ、なに...？」
そうこうしているうちにもドアは激しく叩かれて、その音は止む気配がない。
けれど、ドアスコープを覗いても特に人影は見えない。
インターホンからモニターを確認しても同様だ。
恐る恐るドアを開いた瞬間、
「出てきたぞ！捕まえろ！」
「わっ...？！なに、っ」
警察らしき人たちが一斉に押し寄せてきて、あっと言う間に両サイドから押さえ付けられて車に押し込められる。
そして助けを求める暇もなく、すぐに車は急発進した。
「な、なんですか、急に...」
尋ねても、返答はない。
考えたくないけれど、私の罪が確定してしまったとしか思えない。
(......これから、殺されるのかな)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 418人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます！作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...！全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月17日 16時
