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それから、家のことや好きなものなど他愛ない話をしながらしばらく歩いて、わたしたちの仕事場でもある家の近くの教会が見えてきた。
「もう大丈夫です、ここまできたら迷うこともないですし」
「ほんと？それならここまでにしよっか」
立ち止まってわたしを見送ろうとするその人に、思いきって訊いてみる。
「あ、あの」
「ん？」
「お名前を」
「そうか、まだ伝えてなかったね。...じゃあ、涼太って呼んでもらおうかな。きみは？」
「わたし、Aです」
「Aちゃん。覚えておこう」
「また...遊びに行ってもいいですか」
きっと黙っていたらこのままわたしたちはさよならになってしまうし、どうせ全部見透かされているんだから言ってしまおう。
そう思って伝えれば、涼太さんは少し驚いた顔をした後、優しい笑顔で口を開いた。
「もちろん！いつでもおいで。...あ、あと」
「今日のことは、他の人には言っちゃいけないよ。俺たちだけの秘密、ね？」
「...！はいっ」
わたしたちだけの、秘密。
その響きに胸が高鳴り、あふれてくる嬉しさを堪え切れずに涼太さんと笑い合う。
一夜の不思議な出会いが、こんなに宝物みたいなときめきを与えてくれるなんて。
そしてわたしは、涼太さんに手を振りながらやっと我が家へと帰れたのだ。
それから、わたしは涼太さんに会えるのが嬉しくて足繁くお家を訪ねた。
涼太さんは趣味で料理をよくするらしくて、お家に行けばいつも美味しい料理を出してくれる。
この町は農業が盛んだから美味しい食材がたくさんあって、町にも料理の上手な人はいっぱいいるけれどそれでも一番と言いたくなるくらいの腕前なのだ。
あとはお酒を飲むのも好きらしく、もちろんまだわたしは飲めないけどお酒の話もよくしてくれる。
たまに失敗エピソードが出てくることもあって、それを蒸し返してからかうと「も〜、その話はいいの」と照れてるレアな涼太さんが見れる。
「ええ、また来たの？お仕事は大丈夫？」
「大丈夫です！ちゃんと終わらせてから来てますよ」
あまりに遊びに行きすぎて、笑いながらこんなことを言われる日も。
涼太さんは笑顔がすごくかわいくて、ずっと見ていられる。ほんとうに楽しそうに笑うんだもん。
本人に伝えると「Aちゃんの方がかわいいよ」なんて当たり前のように返してきて、いつもわたしが照れて終わりだからあんまり言わないけど。
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灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます！作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...！全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月17日 16時
