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「はー......」
今日も結局あの態度デカすぎ王子に根負けして、雑談とも言えないようなツッコミだけを繰り返し退出して来てしまった。
手には綺麗に食べられたオムライスのお皿。
幼少期からの教育があってか食べ方は本当に綺麗だからムカつく。
まあそういうのは食べ方に限った話じゃないんだけど...。
ため息をつきながらキッチンに向かえば、向こうからメイド長が歩いてきた。
「あら、Aさん。今日も辰哉さんとお喋り？」
「......まあ、そんなところです」
全然笑ってない目で笑いかけてくるメイド長から目をそらして答えれば、すぐさま次の一手が飛んでくる。
「ふーん、しっかりお給料分の働きしてくれてるならいいんだけど」
「......」
こんな嫌味、まともに聞くだけ無駄だ。無視無視。
お皿の乗ったお盆を持って歩き出せば、それを遮るように足が差し込まれるもんだから、裾のボリュームがある制服では避け切れずにつんのめる。
(......！！)
ぐらりと揺らいだ体に衝撃を覚悟すれば、何かに抱き留められた。
「ちょっと、」
「...すみません。お手を煩わせてしまいました」
見上げれば、数分前に出てきたばかりの部屋の主で。
メイド長が目を丸くして彼を見た後、一瞬私を睨みつけてからまたすぐ視線を戻す。
「辰哉さん？！お怪我はないですか？！」
「あー...俺は大丈夫だから。Aさんは？」
「問題ありません。ありがとうございました。...失礼します」
このままこの場に留まっていてはメイド長のお小言が面倒だ。
辰哉さん？！どころかお怪我の心配をされるべきは私でしょうが。けっ。
一体みんな何を勘違いしてるのか。
確かにあの王子様にご飯を運ぶのはいつも私の仕事だし、部屋でしていることは業務の説明でもお手伝いでもなくしょうもない言葉の応酬。
けど、ここで働く他のメイドたちと違って私はあの人のことをなんとも思っていない。特別な関係でもない。
むしろいつも適当にあしらわれて、逆にちょろい奴とまで思われてそうなくらいだと言うのに。
一体あの男の何が良いのやら......と首を傾げながら返却棚にお皿を載せるのだった。
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灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます！作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...！全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月17日 16時
