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その夜、何かの物音で目が覚めた。
「ん.........？」
外で誰かが話しているらしい。こんな深夜に一人で外に出るわけにはいかないから、照を起こそうと部屋を出る。
「照ー、いま外に......あれ」
布団には人の影はない。
触れてみれば少しだけ暖かくて、照がいなくなってから少し経っていることを理解する。
まあたまに照は夜に散歩と称して外を歩くこともあるし、不思議ではない。
けどなんだか、嫌な予感がする。
「ひかる？」
何回か呼びかけながら廊下を進み、全部の部屋を確認して回るけれど照の姿はない。
草履に足を突っ込んで外に出れば、遠くの方に人影が見えてほっとした。
(ん.........？誰かいる？)
数歩近寄ると、ふたりの人影がだんだんはっきり認識できてくる。
白い服を着ているのは多分照。でかいから遠くから見てもすぐわかる。
歩きながら目を細めて見ていたら、向かい合って話しているようだった相手が腕を振りかぶった。
(......！！！お父さ、ん)
照に殴り掛かった相手は、昼間に会ったばかりの父だった。今さら、何を。
「照！！！」
止めようと走り出せば、私の足音に気づいた照が父の拳を避けながら振り向く。
「A！！！！離れろ！！！」
叫び声にびくりと身体が反応して足が止まった瞬間、
照の肩に矢が刺さって、崩れ落ちていくのが見えた。
「ひかる！！！！」
駆け寄って肩を叩いても反応がない。
見れば、矢が刺さったところはどす黒く変色しはじめていて、強力な毒矢のようだった。
「照、照、聞こえてるんでしょ？ねえ、ひかる、っ、
ねえ......起きてよ............」
ざく、と枯れ葉を踏み締める音がして、すぐさま顔を上げ音の主を睨みつける。
「A」
初めてこの男に、呼ばれた名前。
こいつはもう私の父親でもなんでもない。
「ほら、蛇神に捕まって怖かっただろう、こっちおいで」
照のことを殺した、敵。
「はやく、こっちに...っ？！」
地面に転がっていた矢をその腹目掛けて突き立てる。
顔に血飛沫が飛んで来る感覚。
刺さり所が悪かったのか、そのまま倒れてぴくりとも動かなくなってしまった。
「......照、帰ろう。明日の朝ごはんは卵焼きだよ」
動かない照の身体を引き起こして、本殿まで引きずって歩く。
朝日が昇るまでは、まだまだ長い。
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灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます！作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...！全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月17日 16時
