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そうして、もう終わると思っていた生贄の人生から思いがけない照との出会いを果たし、二週間ほどが経った。
村から物資が届くことのない山での暮らしは楽ではないかと思われたけれど、それが意外とどころか全然そんなことがない。
なんでかというと......
「A、その籠貸して」
「いっいや、中身入ってないから大丈夫だよ」
「いいから。」
「...心配性だなあ」
「いや心配するでしょ！まだ全然治ってないし、その傷」
「そうだけど......」
ここへ来た日の夜すぐ、父親から虐待されていたことが照にバレた。
「Aー？」
「.........」
「A？聞こえる？」
「.........」
「ごめん、入るよ」
お風呂に入っていたときに、緊張感が抜けたせいか意識を失って、照が助けてくれたのだ。
「A？A、...って、なにこの傷」
「......ひか、る」
「とりあえず出るよ。つかまってて」
溺れかけていたところを抱き上げてくれたかと思えば、お風呂から上がってすぐに叱られたのはかなり怖...ごほん、いい思い出だ。
「ねえ、なにその傷は」
「......これ、は」
「Aに怒ってるんじゃなくて。その傷つけた奴に怒ってんの、俺は」
「.........」
「言わないと強制的に吐かせるよ？」
「？！ちょっ、」
ぼんやりと光り始めた人ならざる指先を見て、父親にされてきたことを洗いざらい言わされ今に至る、というわけなのだった。
照はとにかく意外性が強いというか、その見た目に反して中身はすごくかわいらしい。
まず、すごく過保護。今もこうして中身が入ってない籠を私から取り上げる。水がいっぱい入った桶なんて持とうものならすごい勢いで飛んでくる。
そして、虫が苦手。一体今までどうやって山の中で暮らしてきたんだと思うくらい虫嫌いだ。
本殿の中に入ってきた虫退治はすっかり私の仕事。本人曰く「今までは術で全部消してきた」とのこと。使い所があまりに小さすぎる。
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灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます！作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...！全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月17日 16時
