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「はい、嫌なもんあったら残していいから」
「ありがとう、ございます...」
「なに笑そんなに緊張しなくても取って食ったりしねーから笑」
いや、唐突にあんなことを言われて緊張しないほうが無理という話で。
目の前に用意された豪勢なご飯を前に肩がすくむ。
「食べないんですか...？」
「俺はいいの。お腹空かないし」
「あ、そっか......」
神様だからそういうのも無いんだ。
すごい身体だな、と思いながらご飯をひとくち食べれば、その美味しさに驚く。
「！！...おいしいです」
「まじ？よかったー、俺ここに人が来たときしか料理しないからさ、めっちゃ不安だったんだよね」
「全然、すごく美味しいです。ありがとうございます」
お惣菜や魚に手を伸ばしていると、彼は「これからどうするの？」と一言。
「これから、というのは」
「あー...いや、その。今までここに来た人たちはみんな、すぐ逃げ出して.........
川とかで、俺が見つけるばっかだったから」
それらしい言葉は何一つ言わなかったけれど、きっと歴代の生贄の娘達がみんな帰ってこなかったのは、そういうことなんだろう。
確かに語り口からしてこの人は人間ではなさそうだけど、別に危害を加えてきそうな感じも無い。
それに危害なんて今更加えられたところで、私にはもう慣れっこだし。
「ここに、住んでもいいですか」
「......いいの？」
「だめ、でしょうか」
すると彼は遠慮がちに「怖くないの？俺のこと」と言うもんだから、大きな身体と鋭い目つきのわりにその表情が子供みたいで、なんだかおかしくなってしまう。
「...笑わないでよ」
「あははっ、いや、なんか...かわいいなって」
「......変な奴...ふふっ」
「笑ってるじゃないですか。あ、そうだ」
「なに？」
「まだ、お名前を教えてもらってないです」
訊いてから、神様に簡単に呼べるような名前なんてあるんだろうか？とふと疑問に思う。
けれど彼はすぐに、
「照って呼んで」
「...ひかる、」
「うん。そっちは？」
「...A、です」
「Aか。いい名前」
「！！」
人に名前を呼ばれたのなんていつぶりだろう。
目尻をくしゃりと寄せて存外柔らかく笑うんだなと、心の奥があったかくなった。
「それじゃあよろしくね、A。敬語もなしでいいから」
「...よろしくおねがいしま、あ」
「うん。ちょっとずつでいいから慣れてって」
「ふふ、はい」
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灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます！作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...！全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月17日 16時
