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──────おい、今日の業務は終わらせたのか？
──────こんなこともできないなんて...まったく。
──────いいか、戻ってくるまでここに立っていろ。
いたい。こわい。いたい。
ごめんなさい、ごめんなさいもうしません、おねがいします......
「......っ」
意識が飛んでいたらしい。
「生贄は神聖でなければならない」という理由から、昨日の夜以降何も食べずほぼ寝てもいなかった。
身に纏う上質な白い着物を確認し、汚したりはしていないようでほっとした。
「時間だ」
ちょうど、父がわたしを呼びにきた。
立ち上がって後ろを静かに歩く。
そして、出発前の儀式をする部屋についた。
「これからお前は蛇神様の贄として、本殿に向かうことになる」
「...はい」
「覚悟は良いか」
「慎んでお受け致します」
このやり取りも、決められた儀式の一環。もちろんわたしの意思なんてどこにもない。
当たり前だ、生贄となる人間に選択肢はないんだから。
村のために生きて、死ぬ。
それがわたしに課せられた役目。
湧き水で手と足を清めれば、裸足のまま外に出る。
山の空気は澄み渡っていて、青空が広がっていた。
「それでは、行って参ります」
神社に一礼して、本殿へと続く長い階段へと足をかけた、その時。
「何があっても戻って来るなよ。これでお前とは今生の別れだ」
嘲笑を含んだ言い方で、父の声が飛んで来る。
じわりと涙が滲んで視界が歪むけれど、振り返ってはいけない。振り返りたくもない。
別に今日死んだって構わない、伝統やしきたりに塗れたこの忌まわしき神社から出られるのなら。
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灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます！作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...！全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月17日 16時
