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「あ、そうだA」
「？」
「明日から一週間ぐらいまた友達の家に泊まるから」
「わかった、帰ってきたら教えて」
「...うん、ありがとう」
亮平くんの学校は宿題がいっぱいあるそうで、こうして月に一回くらいの間隔で学校の近くに住むお友達の家に泊まることがある。
その間わたしは仕方なく家で裁縫をしていることが多い。
それから亮平くんに教えてもらいながら国語の教本を進めて、よもぎ持ちを食べて、また勉強をしてわたしは家に帰った。
「おかえり」
「ただいま。亮平くん明日からまたいないって」
「あら、そう。じゃあ明日からはお裁縫ね」
「はぁーい......ごみ出し行ってくる」
「はい、いってらっしゃい」
亮平くんの家から帰ってきた日の夜、お母さんの声を背中に受けながらごみ袋を持って外に出る。
村のごみ置場は少し家から遠く、月明かりを頼りに歩いていかないといけない。
しゃりしゃりと砂を踏みしめながら進んでいくと、向こうに橙色の光が見えた。
「明かりがついてる」
ごみ置き場の背後の裏山に建っている古びた小屋。
普段からここにはよく来ているけれど、あの小屋に灯りがついているところなんて見たことがない。
ごみ袋を置いて裏山へと一歩踏み込む。
体重をかければ枯れ葉や枝がカサカサ、パキパキと音を立てて少しドキドキした。
(......誰かいるのかな)
2歩目を踏み出したそのとき。
「Aー！どうかしたの？」
「！！...沙枝か......なんでもない！髪留めが落ちちゃって」
「あ、そうなんだ」
かがんで足元に手を伸ばし、物を拾うふりをする。沙枝もどうやらごみ捨てに来たようだった。
「戻ろ、A」
「...うん」
わざわざ一緒に戻ろうと誘ってきた沙枝を振りきってまであの小屋に入りたいわけではない。
わたしはそこで、小屋を諦めて家へときびすを返した。
「ごみ捨ててきたよー」
「はーい、ありがとう。...あ、そうだA」
「なに？」
「亮平くんがこの前Aに伝えておいてって言ってたんだけどね、
「『知らない人のところとよくわからないところには行かないこと』って。」
明かりのついた小屋の姿が脳裏をよぎる。
(......亮平くん、すごっ)
まるでわたしのことが見えているかのような亮平くんの伝言に震え上がったわたしは、それから小屋のことを思い出すことはなかった。
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灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます！作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...！全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月17日 16時
