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「危ない！！！」
真横から誰かに突き飛ばされて、視界がめちゃくちゃに回った。
何かにぶつかって体が止まるけれど、その「誰か」はわたしを強く抱きしめて、大きな手が後頭部に添えられる。
「大丈夫。深呼吸して。俺がここにいるから、怖がらないで。」
優しい声に誘われるように息を吸って、深く吐き出す。誰かは分からないけれど、暗い夜の森でひとりぼっちのわたしには光のように思えた。
どれくらい経っただろうか。
「.........もう大丈夫だと思う」
「......ありがとう、ござ、います」
腕の力が緩み、それを合図にゆっくりと目を開けると目の前にいたのはすごく顔立ちの整った人で。
暗い森の中でも分かるほど艶やかな黒髪が印象的だった。
「ごめんね、せっかくの綺麗な服汚しちゃったね」
「そんな！助けていただいたんですからそんなことは構いません。本当に、ありがとうござ...あ」
お礼をと思って頭を下げると、擦りむいたらしい膝から血が垂れているのが目に入る。
「...！手当てしよう」
「いや、でも」
「女の子の体に傷なんて絶対だめだよ。家は近い？」
「近くはないですけど...」
「じゃあ、俺の家に来てもらおう。手当てするだけだから心配しないで大丈夫だよ」
「いやでも本当にこれくらい、」
「森でできた傷なんて、どんな悪いものが入り込んでるか分からないし。こういうのは早い方がいいから。ね？」
髪と同じくらい真っ黒な目に見つめられて、気づけばそれに頷いていた。
するとその人はにっこりと笑ってわたしを抱き上げた。いつの間にか荷物も持ってもらっている。
「えっ？ちょ、わ...っ？！」
「こんなに足場の悪いところ歩かせるわけにいかないからね」
「...ありがとうございます......」
こんな歳になってお姫様抱っこなんて恥ずかしすぎる。
けれど、ここは暗い森の中。周りにわたしたちを見ている人は誰もいないんだからとひそかにこの時間を楽しむことにした。
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灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます！作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...！全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月17日 16時
