ドラキュラ × 聖職者【赤】 ページ1
「それじゃあ、行ってらっしゃい。気をつけてね」
「大丈夫だよ、わたしももう３年目なんだから！行ってきます」
お父さんに見送られて、わたしは夜の森へ繰り出した。
この町で１番偉いのは、町長でも警察でも富豪でもない。
わたしたち聖職者だ。
1000年前、世界には「血を吸い上げる者」、つまりドラキュラが現れた。
その力は人間よりはるかに強く、真っ赤な目に尖った耳と長い爪を持ち、固い皮膚の下には黒い血液が流れていると言われている。
人間の血を主食とし、時折人間を襲いに街へ下りてきたそうだ。
そして、この怪物に対抗するために聖職者は誕生した。
人間で最初にドラキュラに打ち勝った者の血を引いている一家で、街の人々を怪物の恐怖から救い安心させるためにいる。伝統と責任のある一家なのだ。
「...よし、今日も異常なし」
15歳になった時からわたしは父と祖父母と交代で、聖職者の仕事のひとつである夜の見回りをするようになった。
母親は幼いころに亡くなっていたし、わたしが聖職者の仕事をちゃんと引き継がないと後継がいない。責任感も重大なのだ。
森の開けたところに建てた噴水のそばにある、ドラキュラ対策のための十字架に聖水をかける。ロザリオで印を結べば、見回りでやるべきことは完了。
今来た道を引き返そうと振り向いたそのとき。
「っ？！」
足元がぐらぐらと揺れて、立っていられなくなりその場に座り込む。
(地震......？！)
街の敷地である森は、先祖代々聖職者たちの手によって開発を繰り返され地盤が緩んでいる。教会や噴水などを建設するためだった。
地震が起こったときは絶対に森に入ってはいけないというのが小さな頃からの教えなのだ。
早くここから出なければと走り出す。ただランタンの火を消さないようにしないといけないので、全力には程遠いスピードだ。
じれったいなと思いながら先を急ぐと、不意にランタンの火が作る木の影が不自然に揺らいだ。
「......？」
思わず立ち止まって見上げると、
バリバリバリッ！！！
大きな破壊音と共に、目の前の大木が倒れ始めた。助けを求めようにも喉に何かが張り付いたように声が出ない。
(やばい、潰される────)
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灯莉(プロフ) - 雪姫さん» 雪姫さん、ありがとうございます！作品にコメントをいただくのは初めてなのでとても嬉しいです。おおかみこどもの雨と雪、いいお話ですよね。そう言っていただけて光栄です...！全メンバー書く予定なのでぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。 (3月7日 22時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - めっちゃ良かったです。舘様のドラキュラ、阿部ちゃんの狼男、ひーくんの蛇神どれも良い話しでした。けど、狼男では、アニメのおおかみこどもの雨と雪、あれを、亮平君と重ね合わせ合わせて読んでしまうくらい感動しまって。もっと続きが知りたいです。待ってます。 (3月7日 18時) (レス) id: 2fedfb09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年2月17日 16時
