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27個目 sideなし ページ29

「おい?…オビ!」

声をかけるミツヒデだったが、その声はオビに聞こえていない。
オビがゼンの前に立った。

「オビ、居たのか」

「主、勝負しましょう」

「あ?」

「俺が勝ったら、タンバルンへのお嬢さんの付き人…俺にして下さい」

オビの突然の申し出に目を見開いたゼン。

「あんたが守れない時は俺があんたの代わりに守る。ー俺をお嬢さんの護衛役にしたのは、主ですよ」

その言葉を聞き、2人の空気が変わる。辺りが静かになり、2人は向かい合った。後ろではミツヒデ、木々、Aの3人が静かに見守る。
先に動いたのはゼンだった。ゼンが振りかぶった剣を少し後ろに仰け反ってかわしたオビはゼンに向かって剣を振った。しかしそれをゼンは剣でいなした。体制を整える為、オビを後ろにバク転をする。

「ほんと、身軽だなおまえは」

ゼンは独り言の様に言うと剣を横一文字に振った。それを交わし、オビは瞬時にゼンの後ろに廻る。
そのまま、ゼンに向かって剣を振るがガードされてしまい、剣が折れた。
不測の事態に少し慌てたオビだったが、足を使いゼンの手から剣を飛ばす。
ゼンの手から離れた剣はカランと音を立ててそのまま動かなくなった。無言の間が暫く続いた。

「…勝負あったな」

まだ戦いは終わってないはずなのに、ゼンはそんな事を言い出した。

「剣ならわからんが、おまえと武闘でやり合うのは分が悪い。オビ、おまえの勝ちだ」

オビは戦いが終わり暫く呆然としていたがやがて口を開いた。

「…いいんですか?」

「…兄上には、「俺が信頼をおく者を」と言ったからな。お前に任せたって約束にはならん」

そこまで言うとゼンはオビを見てふっと笑う。

「ーただ白雪が抗議してきても、俺は責任とらないぞ」

ゼンの言葉に緊張が溶けたようにオビは笑いだした。

「っは。そこは、助けて下さいよ、主」

その光景を見てミツヒデと木々は笑っている。しかし、Aだけが、少しだけ迷ったような顔をしていた。

「ーじゃあちょっと報告してくるか」

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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時

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