MISSING TWINs Ⅲ (ページ20)

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ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅧ ページ20

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ーあったかい…ー

懐かしい温もりに包まれて揺蕩っていた。
そっと瞼を開けば、そこはどこかの控え室だった。

ー芹、無事だったかー

ーお兄ちゃん…？ここどこ…ー

ーコンサート会場の控え室。今メイク中ー

様々な衣装の並ぶ控え室を眺めて口にする。
現在、主導権はお兄ちゃん。
私はお兄ちゃんの目を通して外を見ていた。
視線１つ思い通りにならない状況は、動けない夢を思い出させた。
長く、とても長くこの体を離れていた気がする。

ー今日、何日？ー

すると、お兄ちゃんは無言のままスマホへと視線を向けた。

６月１３日。

その表示に血の気が引いた。
お兄ちゃんは２４歳になっていた。
一部の公演は終え、二部の準備中。
時刻は既に午後を過ぎている。

ーお兄ちゃん！体！体貸して！ー

ーダメだ。芹は今公演の内容を踊れないだろう。リハも無しで貸すことは出来ないー

ーでもっ！ー

ー曲を歌うことは出来ても、踊れないだろう？ー

お兄ちゃんが視線を滑らせた先の曲の一覧。
それは全て私が書き上げていた物ばかりだった。
何年も離れていたのに、お兄ちゃんは私が戻る事を知っていたかのようだった。

「はい。大我、出来たよ」

「ありがとう、瑠璃」

お兄ちゃんの言葉でやっと気づく。
鏡に映り込み楽しそうに笑っているその姿は、紛れもなくお兄ちゃんの恋人、加藤瑠璃さん。
その人だった。

ー瑠璃さんー

ー俺をサポートしたいって勉強して、今下積み中ー

ここの私を事故から救う。
そうした時、お兄ちゃんには迷惑をかけるかもしれない。
最悪の場合、瑠璃さんからお兄ちゃんを奪う事になるかもしれない。
私はそこまで自分勝手には、なれない。
だからと言って、大我くんにあんな顔をさせたくない。
ならば、どうする？

ーお兄ちゃん、私にLINEしておいて…一緒に帰ろうって。待っててってー

ーアイツありすちゃん達と来てるぞー

ーいいから！！ー

ありす達と帰る途中、私は事故に遇った。
そして、大我くんと会う途中で事故は起きた。
大我くんの目の前で。

ーそれに、大我とメシの約束してたみたいだしー

ーキャンセルさせて！ー

ー…芹、何があった？ー

無茶苦茶な私の言い分と剣幕に、鏡の中のお兄ちゃんは怪訝な顔をした。
説明したら分かってくれる？
私のお願いを聞いてくれる？

「武藤くん、そろそろ出れるかい？」

「はい」

ー芹、後で聞くー

ーお兄ちゃん！ー

お兄ちゃんは、応えなかった。