MISSING TWINs Ⅲ (ページ27)

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必死に状況を理解しようとしているのであろう大我くんは、きょとりとしたまま降りだした雨を受けていた。
水が苦手で濡れるのが嫌いなはずなのに、それさえ忘れたように、ただただ腹を立てて怒りで捲し立てる私を見つめていた。

「お兄ちゃんと同じくらい“生きて”るんでしょ！？お兄ちゃんと同じように糸見えないわけ！？あの私がここの私じゃないって分からなかったの！？馬鹿なの！？」

ーだから馬鹿だって何度も言っー

「お兄ちゃんは黙っててって言ったよね！！」

ーｱ、ﾊｲー

「助けようとしてくれるのは嬉しいよ？でもね？それで大我くんが怪我なんてしたら嬉しくなんてないし最悪大我くんが死んだら私は私を呪って生きるしかなくなるんだけど！大我くんはそれを私に強要したいの！？違うんだったら現実受け入れて！こんなこと終了！もう終わり！！分かった！？」

「…芹…な、の…？」

「私は最初っから“武藤芹”だって名乗ってますけど！？大我くんも私を“芹”って呼んでたでしょう！もう忘れた？若年性！？」

「え？待って待って」

「待てない！誓って！今すぐ！」

「待って待って！何を！？」

「こんなこともう終わりにするって誓いなさい！もう“他人”に迷惑かけませんって“私に”誓って！！」

そうして、大我くんは息を詰めた。
私に誓ってしまえば必ず終わらせなくてはならない。
それでも、私を助けたい。
そんな感情の見え隠れ。

「誓えないの！？」

「それは…」

「～っ！もう結構です！！」

ステージ衣装は雨でぐしゃぐしゃで気持ちが悪い。
早く控え室に戻ってからりと乾いた服に袖を通したい。
頭に血が上った私は、大我くんに三行半を突きつけ、体を反転させて会場へと歩を進めた。

「…ぁ…」

小さな大我くんの声が聞こえたけれど、またこんな事を繰り返すつもりならもう知りません！
どれだけの大我くんを苦しませて来たのか、例え加害者が大我くんでも、大我くんが被害者なら許容など出来る訳ない。

ーーーキイィィィィィ

「え？」

突然のブレーキ音。
無灯のダンプがすぐそこまで迫っていた。

「ー芹っ！！！ー」

頭の中と外、２つの声が混ざって聞き覚えのない声が響いた。
あの時、私の世界も混ざっていたのか。
１度経験していたせいか、冷静にあの時の声の主“達”の正解に口元が上がった。

「ありがとう、ごめんなさい」

道連れにしてごめんね。