MISSING TWINs (ページ44)

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「お待たせいたしましたー♪武藤罰ゲーム急便です！」

「なに…これ…」

「うわ…ヤバくね？」

「え？これ、差し入れ？」

「いや、罰ゲームだけど？」

「え？え？嫌な予感するんだけど…」

「おうっ！罰ゲームの内容は…」

テーブルの上に、ドドンと並べられたホールケーキの山を指して胸を張る。

「指令！ホールケーキを全て食べきれ！」

「うわぁ……」

全員が計１７ホールもあるケーキを見渡してドン引きである。
生クリームたっぷりのショートケーキ。
チョコレートでコーティングされたデコレーションケーキ。
しっとりとしたチーズケーキ。
ふんわりシフォンケーキ。
と様々である。
全て違う種類にはしなかったけれど、１７ホールも並んでいると、見ているだけで胸焼けする。
大我くんなんて買い物にも付き合ったので余計だろう。

「この罰ゲーム、マジできつ…」

口にケーキを運んでいたジェシーくんがそのフォークを止める。
最初は美味しいとパクパク食べていたが、ケーキを噛む速度は明らかに緩慢になっていた。

「どーよ、罰ゲーム」

「いや、ヤバい…」

「まだまだいっぱいあるよー」

「無理ーーーー！！」

「白旗ですかー。それでは、今から２０分踊り通してください」

「今腹いっぱい！」

「知ったこっちゃねぇ！罰ゲーム完遂出来なかった罰ゲームです」

「きっつ…」

「はい、じゃあ皆で分けて食べようぜー」

ジェシーくんにコンサートでやるダンスを通しで踊らせ、それを肴に私達はお高いケーキに舌鼓を打つ。
残ったら皆さん持ち帰ってくださいねーなんて声をかけて、しかし、レッスンの再開後にまたフォークと口を動かしている成長期の男子達にかかれば、１７ホール・９号サイズはあっという間だった。

「実は俺の時はもっと少なかったんだけどなー」

「嫌がらせかよ」

ケラケラわらう樹くんの台詞に返す私の言葉には、力なんて無かった。

「ただし、全部ショートケーキだったけど…」

「きっつ…」

「しばらくケーキいらない…」

もはや、誰もがその言葉しか出なくなっていた。