MISSING TWINs (ページ24)

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新規のドラマの顔合わせで判明したのは、監督が私が出るという事で変更していた事だった。
監督は橋場さん、こちらも初めてドラマに出演した時の監督さん。
あの頃すでに70を越えていたので引退していたのだが、今回の監督さんを育てたのが橋場さんだったらしく、無理を言って変わってもらったらしい。
橋場さんが。
そこまで買っていただいているとなると、頑張らなくちゃ！と気合いも入るというもの。

「そう言えば、芹くんは歌も作っているんだっけ？」

「あ、はい。Jr.の番組で披露させていただいています」

「じゃあ、主題歌お願いしてもいい？」

「え？」

「これが本当の私の引退作品だからね。成長した芹くんを全力で魅せてくれないか？」

テレビ初出演、その時に私のワガママを橋場さんは通してくれた。
本当にダメなものはダメだと叱ってくれて、たった８歳の私にも同じ目線で意見を言わせてくれた。
子供の戯れ言だと言われてもおかしくないのに、スタッフも共演者も、誰も彼もが私の提案を真剣に審議してくれて、良ければ採用。
悪ければ罰ゲーム！なんてルールが撮影の半分が進んだ頃には出来ていた。

「…審議の結果ダメな場合は？」

「もちろん！」

「久しぶりの罰ゲームだ！」

「うわぁ…あの罰ゲーム、僕結局１回もやりきれませんでしたからね…」

「まだ小さかったからなー」

「今ならいけるだろう」

「ガンバリマス」

あの罰ゲーム、かなりキツいんだよね。
最初は良いけど、後がヤバい。

「そうだ、芹くんのお願い通りに青年の設定を少しイジってみたけど、本当にこれで良かったのかい？」

「はい！」

「チャレンジ精神は良いが、これは色々と危なくないか？」

「リアルに行くのが山岡さんと橋場さんでしょう？今の僕はアイドルですよ。それを最大限に使って物議醸してやりましょう？」

どうすれば良いのか分かんないなら、賭けに出るしか無いではないか！
絶対弟を通してドラマを観させてやる。
大我くん目的でKAT-TUNのコンに行ってたけど、やっぱり聖くんのラップが有るのと無いのでは迫力が違う。

「いつも以上に意見出しますので、よろしくお願いします！」

「ははっ、お手柔らかにね」

「老体を労ってもらいたいな」

「僕も罰ゲームに関しては労ってもらいたいです」

和やかな空気の中、クランクインの時を迎えた。