�将� ページ21
「芹、何書いてるの？」
雑誌撮影の合間、待ち時間に何となく次の曲を作っていた。
あの後、本当に全員分を作らされたおかげで暫く頭の中は空っぽになった。
それでもまたペンを手に取ったのは、どうしようもないから。
私に出来ることは微々たる事。
周囲にはスーパーマンと言われてる私も、出来ない事が多々ある只人である。
その、鬱憤晴らしである。
「なんか、苦しい歌詞だね」
「うん。助けを求めてもがいてる歌。自分では身動き取れなくって、でも怖くて仕方なくて誰にも言えない。そんな弱虫の歌」
「らしくないね」
「俺らしいよ。大我だって俺の事臆病だって言ったじゃん」
「…歌って？」
「ここでぇ！？やだよ！」
「いいじゃん」
「大我は雑誌の撮影スタジオで歌えんのか？」
呆れた顔で私が見遣るのも構わず、すっと立ち上がり私の歌を歌い始めた。
私が大我くんに作ってあげた歌を。
「高らかに声をあげて
歌い踊る僕たちで永久に魅せ続ける
激しいbeatを響かせて
輝かしい世界に導いていくよ
さぁ、行こう Believe me」
「はずいからやめろぉぉぉ！！」
口を覆い黙らせることに成功したものの、大我くんがこの程度で黙る訳が無く、モゴモゴと続きを歌っている。
と言うか、耳まで真っ赤にしてまで私に歌わせたいのか！
この手を離したら何か終わる気がする。
悲壮な顔をしている私の肩に、誰かの手が置かれた。
「諦めな」
「諦めて！たまりますか！ここ！レッスン室！じゃない！撮影！スタジオ！それに！未発表！」
可哀想な物を見るような憐れみの目で私を見るのを止めてください。
河合くん。
傷つきます。
クスクスと忍び笑いのスタッフさんに「すみません」と頭を下げる私は、確実に大我くんの保護者である。
卒業式はいつ頃開催されますか？
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佐藤龍我のぶりぶりざ○もん
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作者名：Fin. | 作成日時：2019年3月28日 1時
