機会 ページ5
見慣れない白い天井、規則正しい機械音、鼻に付く薬品のにおい。いわゆる病院ってやつっすな。
「おはよう！A！痛いところは！？大丈夫？」
「お姉ちゃん、抱きつかれたら痛いよ？」
「あ！ごめんね！」
反省する気ZEROですな。
まぁこれがお姉ちゃんなんだけど。
「ねえA、コンビニ強盗にあったんだって？怖くなかった？」
「うん、少しだけ怖かった、かな。でも大丈夫！」
お姉ちゃんとほのぼのした会話をしてたらいきなり病院の扉が開いてナース服着た看護師さんが入って来た。
クソ可愛い←
「はいはい、ちょっといいかな？警察の人がね、話を聞きたいって。個性使用の件だから、覚悟しておいてね？」
「ひっ、はい。」
そう、街中での個性使用は法律違反。
どんな状況でも使えない。
腐った法律。
「やあ、初めまして、僕は紫乃毒牙、よろしく。塚内さんの代わりに来てあげたんだよ？」
イラッ
来てあげたんだって。ムカつきますね奥さん←
この人嫌い。
典型的な子供を道具だと思ってるタイプ。
本名はバレたく無いなぁ。なんとなく。
よし、偽名？とやらを使ってみよう。
「ボ、ボクは此花Aです。よろしくお願いします。」
「そうか、A、よろしくね。じゃあ早速だけど、個性、教えてくれるかな？」
隣にいるお姉ちゃんがこっちを見る。
多分言っちゃダメって事なのかな？
「個性は、粘土です！」
ああ！言っちゃった！嘘言っちゃった！どうしよう戸籍とか確認するよね！？
もうこうなったらヤケだよ！
「あ、あの！紫乃さんの！個性も知りたいです！ボクだけ教えるの、フェアじゃないです。」
「あはは、難しい言葉を知ってるね？いいよ。僕の個性は、毒だよ。毒を出せるんだ。昔は敵個性って言われてたけどね、意地で警察になってやったよ」
毒、使えるっ！
なんとかこの人の血を採れれば！
「あのっ、看護師さんも、お姉ちゃんも少しだけ外に行っててくれませんか？紫乃さんとお喋りしたい！ダメ？」
「え、でもまだ…」
「いいじゃないですか！看護師さん！外！行きましょ！ね！」
困る看護師さんをお姉ちゃんが無理やり引っ張って行く。
あ、出て行く直前にウィンクして来た。
可愛いよお姉ちゃん。好き。
「それで？お喋りって、何するの？こっちはね、仕事で来てるんだよ？君の個性さえ分かればあとは帰るだけなの。」
ムカつきますこの人。
「あの、もう少し近くに来て下さい！」
ボクは布団の中で針を準備する。
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作者名：Noa | 作成日時：2019年4月8日 6時
