12-1:椚ヶ丘の時間 ページ26
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「はぁ、」
昼休み
「赤羽、あとお前だけだぞ。進路希望出してないの。早くだせ」
「………あのさぁ浅野くん、俺が今感傷に浸ってるってわかんない？察しなよ。そんなんだからいつまで経っても2位なんだよ」
「っ！、いちいち君は相手を苛つかせないと気が済まないのかな」
この学校の制度のお陰様で、二人は二年間同じクラス。その上、名字の都合上二年間連続で前後の席という仲。
あの年も含めてもう3年が経った今、長年テストで上位争いを行う二人の仲はまぁ、良好であった。
そしていまでは、《五英傑》ではなく《五英傑と一人の悪魔かっこ笑》と呼ばれていたりする。
「……竹島のことか」
「…そ。A……なにしてんのかな」
理事長の差金か、はたまた烏間の個人的な依頼か、椚ヶ丘学園高等部2年A組の教室には、一つ誰も座らない空席があった
その席に座って授業を受けた生徒は居ない。それなのにも関わらず、その生徒を退学にすることもなく、ずっとそこに席はある
赤羽はチラッと竹島の席に目を向ける
周りは皆、午後の授業に向けて勉強している。そんな中、一人窓を眺めている彼女の姿が目に浮かんだ。
あの時、あんなこと言わなければ、あんなことしなければ。
いくつもの後悔が、赤羽を襲う
「進路調査表、これでいいでしょ。頼んだよ浅野くん」
俺5限サボるから。そう言って教室を出ていった赤羽は、いちご煮オレを買うべくして自販へと向かっていった
その姿を、浅野はただただ眺めることしか出来なかった。
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作者名：莱歌（らいか） | 作成日時：2021年11月27日 11時
