となり (ページ29)

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「…んぅ、っ……」

きゅう、と力の入った指先が俺の肩を掴む。
俺の手でくぐもった喘ぎ声に、
ゆっくりとそこめがけて腰を下ろす慧。
リビングに誰がいるとか、
心無い言葉を言われただとか、

「っ、んん！、ふぁ……っん」

そんなつまらない事を吹き飛ばすかのような、
確かな体温。
ふたりきりの過ち。

「あとちょっと、」

「っ、んむ…ぅ」

きゅっ、と慧の眉間に皺が寄って
中へとすんなり入ってしまうのを見て、
また膨らむのを感じる。
ああ、熱い。
手のひらで柔らかいお尻を揉むと締まるものだから、奥まで届かない。
もどかしいとばかりに膝を震わせ、
口元にあてがった俺の手を舐めて応戦してくる。

「手、外す？」

「んん、っ」

「だよな」

快感で力が入らないのか、今度は首元に絡みついてくる慧の両腕。
仕方なく手を離すと「だめ、」と小さな声が耳に吹き込まれるのを構わず、近寄った胸元を吸うと吐息に変わる。

「いじわ、るぅ…っん」

「奥、」

「っあ、んぅ！」

境目がすっかり埋もれて、足から上半身から頬まで全部ひとつになった。
中で形に添うまで抱きしめていると

「こ、た」

「ん？」

熱に侵された声と顔を寄せ、
甘い唇で俺の唇を覆ってチロチロと舐めてくる。
今しか俺に隙が無いと思ったに違いない。
ちょっとした復讐心のつもりなんだろうけど、
俺からすれば愛おしくて仕方ない。

そんな事をされても、
子猫が示す主人を慕うただの忠誠心にしか思えないのに。

「慧」

「、ぁ」

「いい？」

優しく聞いて目を合わせた。
じわじわと体温を上げたから多分、
慧の頬は林檎色。
くすぐったい、という表情。

「…うん」

コクリと頷くのを見てから俺は両腕をベッドの上に体重をかけ、しがみつく慧に向かって下から突き上げた。

「っあ！…っ、んんぅ」

口を塞ぐのか、下からくる快感を散らすのかで
身をよじらせる慧に緩めることなく腰を揺らす。
明日起きたら嫌われているかもしれない。
そんな憂鬱さえこの時は考えられなかった。
タガが外れた、とでも言おうか。
コントロールが効かない身体の疼きに身を任せて
肌をぶつけて快感へと追い込んでいく。

「んぁ、あ、っこう、あん…っん」

「ごめん、止まんない」

「ん、んぅっ！ぁ、やっ」

だめ、と声を震わせるのにも構わず反応した場所めがけて上下させるとぴゅくんと慧の先から白が飛び出て俺の身体に散る。
すっかり力が抜けた慧の身体が俺めがけて倒れ込んできた。

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