朝にはもう貴方はいない【太宰治】

19話 ページ21

あれから私は太宰幹部とは別の任務続きでなかなか顔を合わせる機会がなかった

久しぶりに会ったのはあの夜から2週間以上経った頃だった

今まで通りドアの前でノックをする

中から返事が聞こえ、ドアを開ける

「失礼します、おはようございます」

「おはよう」

彼は前と変わらない様子だが

変わっているのはこの部屋の様子だ

「…太宰幹部、なぜこんなに書類が溜まっているんですか？」

「任務続きで書類だけが溜まってしまったのだよ」

いや、太宰幹部は任務続きでは無かった

それどころがここ2週間は少なかったくらいだ

「嘘はよろしく無いですよ、太宰幹部
他に理由があるはずでしょう」

書類整理は基本的自分からやろうとはしないが
ここまで溜まるほど放置しておくタイプでも無い

理由がなければここまで溜まるはずがないのだ

「…やる気が出なかったのだよ
君がいないと困る」

理由があまりにも予想外で
驚きが隠せない

「私がいなくても今までやれていたじゃないですか」

「だから…出来るがやる気が出なかったんだ
君がいないから進まない」

そう言う彼の顔がなんだか子供っぽくて可愛らしく見える

クスクス笑うとムスッとした顔で睨んでくる彼もまた可愛いものだ

「それではこの書類を今日中に終わらせましょう！」

「え"…それ本気で言ってるのかい？」

「無論です」

「3日はかかると思うんだが」

「終わりますよ、私が言うんですから」

私がそう言うとさっきまでの可愛らしい顔から青ざめた顔へと変わる

その日は今日が終わるギリギリまで書類整理をしていた

勿論部屋は綺麗に片付いた

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