【wrwrd】人間兵器らしいです。 (ページ6)

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Aは焦った。ダレフから教わったのはお店からの緊急避難経路だけ。市場からの避難経路はまだ知らない。

周りの人達はAの事などお構い無しに素早い手つきで店をたたみ始める。

するとあっという間に市場はただの道へと変わった。周りには誰もいない。

『え、えっ、え！ちょっと、どうすればいいの！！？』

ここから店に戻るには時間がかかる。ならば適当に逃げた方がいいかもしれない、しかし、ダレフもAのことを心配するだろう。

そんな葛藤がAの中で行われている時地面がガタガタと揺れた。いや、近くの家が倒れたのだ。

『えぇ！…っぶな、と、とりあえず逃げなきゃ。』

ダレフの言っていた噂だろうか。こんなにも直ぐに仕掛けてくるとはAも思っていなかった。

Aは崩れた家とは反対方向に走っていく。

その道には人っ子ひとりいない。何故ならば皆、地下シェルターに入っているから。

自分以外、誰もいない街。崩れ去っていく家々。その光景がAの記憶を呼び起こす。

『っはっ…はっ…っ…だい、じょうぶ…私は…っはっ…』

走って走ってたどり着いたのは

『ここ…って、戦…場？』

人と人とが武器を持ち、血飛沫が飛ぶ。

Aにとっては慣れた光景。なんて、言ってはいけないのだが、実際そうなのだから仕方がない。

だが、Aが今まで見てきた、否、作ってきた戦場とは比べ物にならないほど小規模なものだった。

そんな中、Aの中にひとつの案が生まれる。

『私が止めてしまえば、良くない？私ならこの戦争ヲ終ワらセらレル。ワタシ…ナ……ラ』

そこに居たのは酒場の看板娘のAではなく人間兵器としてのAだった。