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今日も今日とて大忙し…と言うことはなく。今日はあまり人が来なかった。
『あー、暇だ。誰も来ないじゃん』
ダレフ「そりゃそうだろ、お前軍からの放送聞いたろ？緊急避難に備えろってさ。覚えてるか、昨日教えた避難経路」
『覚えてるよ、流石に昨日教えて貰って忘れはしないよ』
今日の早朝、軍の最高幹部の1人である書記長トントンから緊急避難に備えるように放送が入った。
この街では戦争があることなどしょっちゅうのことで、緊急避難は慣れたものだ。
備えるよう放送が入った日には特に何か予定がない者は自宅で待機するのが当たり前。だから、ダレフのような酒場のオーナーは暇を持て余すのだ。
『ってことは、今市場には人が少ない！？』
ダレフ「まぁ、そうだな。っあ、買い物行くか？」
『え、いいの？てっきりダメかと』
ダレフ「ま、いいだろお前は」
『え、何それ怖。私信用されてない？』
ダレフ「信用してるからだよ」
『出たよ、ちょっとイケてるからってすぐそういうこと言う(ﾎﾞｿｯ』
しかし、Aはそんなダレフを憎むことが出来ず、ルンルン気分で市場に出かけていった。
市場には誰もいないとまでは行かなくともいつもの半分以下の人数しかいなかった。
「あらぁ、Aちゃん。いい果物入ってるよ、見ていかない？」
『おばさん、ありがとう。でもごめんなさい、今日は魚とお肉なの。また、今度来るね
ってことでおじさん、お魚くださいな』
「っらっしゃい！今日は来店人数が少ないからおまけしとくよ」
『お、ありがとうね。今度うち来た時に何かサービスするね！』
『魚と肉とお酒も少し買ったし、もういいかな』
Aはこれでもかと言うくらい空いている市場を満喫した。余計なものはひとつも買っていないのにどうしてこんなに時間がかかるのかと思うほどに。
しかし、今日は何故こんなにも市場が空いているのかを忘れてはいけない。
市場の中央にあるスピーカーから軍からの放送が入った。
「緊急避難要請、緊急避難要請、街の方々は速やかに緊急避難を行ってください。速やかに街から離れ、緊急避難を行ってください。繰り返します〜」
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作者名：音西旱 | 作成日時：2020年4月29日 18時
