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sn「グルッペン、目覚めたよぉと言っても多分今もっかい寝てると思うけど」
会議室には最高幹部が全員揃っていた。
何やら重たい空気だ。
gr「そうか、それで自覚は」
sn「してる。絶望したような表情だった。さしずめ、α国に使われていたのを逃げてきたってとこじゃない？」
os「思い出した！あの子、酒場で会ったことあるわ、えっと名前分からんのやけど…ダレフんとこの」
ut「Aちゃん！？」
os「あ、そう。たぶん」
rb「ほんまかぁ？あの子結構前からおるやろ」
sha「でも、何ヶ月か前にダレフが行き倒れを拾ったんやぁって言ってたで」
shp「辻褄は合いますね」
ht「それに、もう俺たち3人は見てるからね。彼女が暴れ回ってる所を」
この街の酒場で元気よく働いていた娘が急に暴れだしたことで、国民は混乱するだろう。
が、不幸中の幸いだろうか。国民は全員地下シェルターに避難していたことにより、人間兵器は誰にも目撃されることは無かった。
gr「とりあえず、今は今回の戦利品の処理が先だ。彼女が目覚めたら、もとのことろに返してやれ」
ut「あ、僕行くで」
「起きて、Aちゃん。帰るで」
誰かに体を揺さぶられて目が覚める。そこにはいつも酒場でサボりをしている鬱先生がいた。
『鬱先生？…お。おはようございます』
ut「おはよう。Aちゃんの処理がいまさっき決まった。ひとまず今はダレフんとこ戻ろう」
『え、帰れるんですか？』
Aは驚きを隠せず目を見開いた。
ut「あくまでも、とりあえずや。これからどうなるかは分からんけどな。ってことで外に馬車用意してあるからいくで」
鬱先生に手を引かれて城門前の馬車の中へ。
鬱先生もAもその間全く一言も発さなかった。
『あの、鬱先生。聞かないんですか、何も』
ut「あー、何を？」
『何をって、だって皆さん知っているのでしょう？私の、本性を』
ut「んー、せやな。確かに初めて聞いた時は驚いたけど。AちゃんはAちゃんやし。僕にとってはそれだけやでなぁ」
この男は心の底からそう思っているのである。人間兵器なんて正直どうでもいいのだ。
もう一度Aに酒場で酒をついでもらいたい。それだけ。
その事がAには伝わった。
あ、この国の人はどれだけ優しいのだろう。
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作者名：音西旱 | 作成日時：2020年4月29日 18時
