： ページ16
.
数週間前＿＿＿
「＿＿＿は、」
乾いた声が聞こえて、消えた。
理解できない脳内と、困惑の表情の息子に、Aは眉を曲げて笑ってみせた。
「なに、どういうこと？」
「どういうって笑
シンプルにしばらくお父さん帰ってこないってだけだよ。」
「いやいや…!!だからなんで？？」
「なんでって…仕事でって、感じなのかな？」
そんなAの答えに、稜哉が納得するわけもなく。
父親がしばらく家を空けると聞かされた。
しかも当の本人はすでにこの家を出て行った後だという。
例え理由が仕事だとしても、それを曖昧そうに答える母親の様子がどうも引っかかったのだ。
「なんで母さんが分かってなさそうなんだよ…！親父からちゃんとした理由聞いてないの？」
「…ほら、仕事の事だから。
あんまり詳しく聞くのもね？笑」
「地方の撮影とか、公演って話なら分からなくもないけど、親父別にそんな仕事入ってないし。
しばらくっていつまで？…まさか決まってないとか言わないよね。」
「んー…笑」
「ッ、母さん！！」
「ねぇなんで稜哉が怒ってんの？笑」
「不自然すぎるし、自分勝手すぎるじゃん？！
…いい、俺が聞く。」
止めようとする母親を無視して、稜哉は滅多にかけない父親の電話番号をタップした。
数コール目で呼び出し音が途切れ、父親の声が聞こえた。
［はーい、稜哉？］
「お疲れ様です、どういう事なの。」
［待って待って、早い笑］
「笑うなよ、真剣に。
なんで家出たの、いつ帰って来んの。」
［あれ、Aから聞かなかったの？］
「納得できないから電話かけてんじゃん。」
「んー」と言葉を選ぶ辰哉にますます苛立ちが積もる稜哉。
［まぁ、仕事の都合よ。］
「…全く帰ってこないの。」
［そのつもり。］
「勝手な…。」
［ごめんな稜哉。Aと結依の事、頼むね。］
電話越しでも、申し訳なさそうに笑う父親の顔が想像できたのか、稜哉はそれ以上父親を咎めるのを諦めた。
電話を切ると、母親はその会話を予想していたかのように、「ね？」と言った。
「今に始まった事じゃないけどさ、あの自由人に嫌気さしたりしないわけ？」
「あはは笑
いやー？まぁ生きてるか心配になる時もあるけど笑」
「……。」
「仕事を優先してほしいの。
私が、"深澤辰哉" と結婚したから。」
稜哉が見たこともない、とても真剣な母親がそこにいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1784人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あのん(プロフ) - 彩翔さん» いつも閲覧ありがとうございます😊妹ちゃんの過保護ヒーローな長男、需要があるようで驚いております笑 今後とも宜しくお願いします！ (2021年11月17日 10時) (
レス) id: 2713eabb8d (このIDを非表示/違反報告)
彩翔(プロフ) - 移行おめでとうございます！ツンデレだけどシスコン気味な稜哉くんカッコよすぎです🥺更新はいつでも待ちますので、ご自身のペースで更新してください！ (2021年11月16日 21時) (レス) @page27 id: 36c3149a13 (このIDを非表示/違反報告)
あのん(プロフ) - なぁたさん» いつも閲覧ありがとうございます😊お気に召していただけてとても嬉しいです！楽しんでいただけるよう、少しでもまともな文章が書けるように努めます！💦よろしくお願いします！ (2021年11月1日 18時) (レス) id: 2713eabb8d (このIDを非表示/違反報告)
なぁた(プロフ) - 1日で一気読みしてしまいました､､､あのんさんの書き方すごく好きです！ご自身のペースで楽しんで更新していってください。これからも読みます☺️ (2021年10月31日 23時) (レス) @page11 id: bf7a073558 (このIDを非表示/違反報告)
あのん(プロフ) - ぴけらびさん» 温かいお言葉、ありがとうございます😭これからもよろしくお願いします！(^^) (2021年10月31日 20時) (レス) id: 2713eabb8d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あのん
| 作成日時：2021年10月31日 17時
