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医療の知識がない作者です。
現実性に欠ける点もありますが、ご容赦ください。
リハビリ期間
「___ッ、あークッソ…!!」
右半身がうまく動かせない稜哉は、食事の際に聞き手で箸を使ってみても結果は目に見えていた。
お浸しさえ箸で掴めない。
誰かしらがお見舞いに来るたびに明るく、前向きな自分を装うが、リハビリが始まってから一人の時はかなり気持ちは沈んでいる。
努力と、惨めな姿は、
決して他人に見せない主義なのが彼だ。
「…戻れるよな、俺……。」
半ば念じるように呟いて、配膳された自助具で食事を終えた。
リハビリもなかなか前に進めている気がしない。
苛立たないよう、焦らないよう。
それでも上手くいかない日は、一人でに悔し涙を流した。
とある日。
介助なしで自力でトイレに行こうと試みた時。やはり体の一部ははうまく動かせず、思わずバランスを崩した。
「___おいッ!!」
「ッ!!……親父…。」
「…はぁ、もう何してんだよ。
無理すんなって、これ以上酷くなったらどうすんの。」
「……。」
「こっち掴まって、ほら…。」
辰哉に掴まり、一度ベッドへ戻る稜哉。
いつもとは違う彼の様子に、辰哉は荷物を一通り置いて、ベッドサイドの椅子に座った。
「…あ、ハイチュウいる?」
「…ごめん、ほっといて。」
「、……。」
「今は、…ごめんほっといてほし」
「無理。」
「……。」
「俺は、…俺だけは父親だから。無理しなくていいよ。」
「……。」
「大丈夫、稜哉。お前なら絶対大丈夫。俺が保証する。俺の息子だから。」
「…ふはッ笑 訳分かんねぇ…笑」
「いーから、聞けよ。
治るんだから、お前は。諦めるのはまだ早い。」
___諦めるのは、まだ早いだろ?
稜哉が大切にしている言葉だった。
コクンと頷いた息子に、辰哉はぶどう味のハイチュウを一つ、包装紙を取って稜哉の口に入れた。
稜哉は、溶かすようにゆっくり味わう。
「あ、トイレ?ほら、一緒に行こ。」
「…ん。」
「本当、我慢強いというか。
そういうとこ母ちゃんそっくりだよねー。」
「そう?」
「そうです〜、まったく困った親子だ。」
「親父と結依のマイペースペアも大概だよ。」
「バランス取ってんのよ笑」
「何のだよ…笑」
いつの間にか、稜哉の顔に明るさが戻っていた。
「多分、照のリハビリの方がキツいよ?」
「…言えてる笑」
Fin
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あのん(プロフ) - (名前)ミオさん» ご心配をおかけしてすみません、無事復活しました← 今後ともよろしくお願いします! (2021年10月25日 20時) (レス) id: 2713eabb8d (このIDを非表示/違反報告)
あのん(プロフ) - みんさん» ご心配をおかけしました。温かいお言葉ありがとうございます!(泣) (2021年10月25日 20時) (レス) @page48 id: 2713eabb8d (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ミオ(プロフ) - 無理なくゆっくり休んでくださいね (2021年10月20日 0時) (レス) @page49 id: dfbbef0672 (このIDを非表示/違反報告)
みん - いつも楽しみにさせていただいております。体調不良ということでとても心配ですが、お休み期間ごゆっくりなさってください。再開されてもあのん様の健康第一で続けていただければと思います。 (2021年10月17日 20時) (レス) @page48 id: 3106d83bf4 (このIDを非表示/違反報告)
あのん(プロフ) - ぴけらびさん» メッセージありがとうございます!お気持ちとても嬉しいです!再開したら是非、またお立ち寄りください (2021年10月16日 21時) (レス) id: 2713eabb8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あのん | 作成日時:2021年9月14日 19時