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いつもならタクシーを使おうとする辰哉なのだが、今日は珍しく歩いて移動しようと言ってきた。
どういう風の吹き回しなのか…と思いつつも、二人は並んで歩き出した。
「寒くなってきたねぇ。」
とマスクの下で呟いた辰哉の左手は、ポケットに突っ込まれる。
辰哉の左手を少し見た後、周りに視線を移したAは、
ゆっくりと、控えめに、その腕に自分の右手を添えた。
「………んえ？？笑
ちょっ…どした笑」
「…やなら、」
「嫌なわけないでしょ戻して。」
珍しいAの行動に動揺した辰哉だが、離れかけたAの手を、荷物をぶら下げた右手で急いで引き留めて、再び自分の左腕にいるよう促す。
素直な反応に、Aはクスリと笑った。
「なに、珍しいじゃん。」
「あっためてあげよっかなって、思っただけだよ笑」
「…ふーん、」
ポケットの中にあったはずの掌が姿を見せて、素早くAの掌を捉えて、絡まった。
温まった辰哉の手が、外気で少し冷えたAの手に体温を移してゆく。
「ん、こっちの方があったまるねぇ。」
「…だね。」
「だし、Aはこっちの方がよかったでしょ？笑」
「…はいはい。笑」
「おー、素直じゃないこと笑」
そのまま二人は、手と手を絡ませて東京の街を歩き、目的の店まで時間を過ごした。
「……？」
時折、Aは視線を後ろに移しながら警戒して。
「＿＿＿繋いだ！！」(小声)
「叩くな痛ぇわ、」
両親のデートを尾行していたこの兄妹。
まさかあの母親が自ら父親の腕をとったこと、逆に父親がその手に自分の手を繋げたことに興奮冷めやらぬ様子の結依。
そして、一見興味なさげだがしっかりとその様子を凝視している稜哉。
あれほど人前で夫婦の空気を作りたがらない母親が、行動に移したところを初めて目にした二人の中には、恥ずかしさもあるがそれよりも安心に似た「羨望」が。
「今絶ッ対、二人とも幸せな顔してるよね〜。」
「…帰ろーぜ。」
「え、こっからじゃんいいところ！」
「バレるだろいい加減…笑」
「じゃあ次の信号機まで！ね！」
時折後ろの様子を窺っていたAだが、バレないようその都度気配を消して周囲に溶け込もうとする二人。
結局、辰哉達が目的地に辿り着くまで二人の尾行は続いた。
「…いいね、あんな夫婦になりたいな、私も。」
「…間違いないな。」
Fin
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あのん(プロフ) - あさかさん» ヒーリング効果が出始めたのかこの話は…‼️わら いつも閲覧ありがとうございます🥺くれぐれもお大事になさってください！ (2022年4月12日 17時) (
レス) id: 2713eabb8d (このIDを非表示/違反報告)
あさか(プロフ) - 主さん..最高すぎる..個人的に今日頭痛酷いし仕事休みたいしとかグダグダ一人でしてたんだけど、主さんのお話のおかげでやる気出てきました。ありがとうです。後でDMにてたつりょう語りに行きます笑 (2022年4月12日 11時) (レス) @page48 id: ee7bc8727f (このIDを非表示/違反報告)
あのん(プロフ) - あさかさん» いつもありがとうございます😊頭の中にいる長男坊が意識高めで辛いです(?) (2022年3月29日 13時) (レス) @page29 id: 2713eabb8d (このIDを非表示/違反報告)
あさか(プロフ) - 無意識に笑そして今回もいい作品だしかっこいいんだよ..りょやとそのメンバー。後毎回、リアルにありそうな会話が話の中にのめり込めるのが良き←誰。何目線わら。...深澤さんの息子になりたかった.. (2022年3月28日 23時) (レス) @page31 id: ee7bc8727f (このIDを非表示/違反報告)
あのん(プロフ) - あさかさん» 蛙の子は蛙🐸(激いい意味で) ふかざあさんは将来的にめちゃめちゃ紳士な息子を無意識に育て上げそう(？) (2022年3月25日 22時) (レス) id: 2713eabb8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あのん
| 作成日時：2022年3月7日 22時
