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いつもあれくらいの抵抗はされるんだけど、手が当たったことに驚いたのもあって冷たく突き放した自覚はある。
ドアの前の物音に、今開けたら謝ってくれんのかな、とは思うけどこっちにも意地があって。
どうせ心配してくれてるんだろうけど、音の割に打撃は軽かったから痛みももちろん腫れもない。だから、もう心の問題。
わかるよ？わかる。
翔くん照れ屋だし。そんでもってロマンチストだし。
素直になれない、ムードから何からちゃんとしたいって思ってんだろうなって。
、、あれ、そう考えたら俺が悪いかも。
約束してたってことは、翔くんにもその気はあったんだし。のちのち俺が好きにする分、前後は翔くんの仰せのままにって決めてたのにな。
うん、朝起きてすぐ謝ろ。長引かせるのもったいない。
なんて考えて寝たからか、起きて見た携帯の時間は6時。朝に弱いくせに早起きしてしまってなんか恥ずかしいけど、翔くん起きてるかな。
ソファー、寝ずらくなかったかな。いや普通に寝ずらいよね。
寝顔でも拝もうとドアを引いて、一歩踏み出す前に回り始めたはずだった頭の回転が停止。
「しょう、くん？」
ドアの前にはこちらに背を向けて寝転がってる。寒いのか身を屈めてるし。
「翔くん、起きて、」
「んん、」
「風邪引くよ。」
ふわっと開いた目は数回揺れて俺を捉える。
「じゅん、ごめんなさい、」
寝起きの枯れた声。
「ううん。俺の方こそ翔くんの気持ち考えきれてなかった。ごめんね。」
ふるふる首を振る翔くんの冷えた体を抱き起こす。
「なんでこんなとこで寝てんの。俺、毛布と布団リビングに放ったでしょ？寒くない？」
そう言えば何も答えずに首に手を回して抱き着いてくる。俺も背中に手を回し、熱を分け合うようにきつく力を込めた。
「もうワガママ言わないから、」
「俺こそワガママばかり言ってるから。翔くんこそ、ワガママちゃんと言って。」
「、、、」
「俺、ワガママな翔くんも好きだよ。」
「＿、＿＿ぃで、」
「え？」
「っ、俺のこと、捨てないで＿＿、」
「バカ。」
「！」
ちゅうぅ、と寝起き独特の気だるげなリップ音。
「俺、翔くんが捨てて！って泣きながらお願いしてきても聞いてあげなくらい翔くんのこと離す気なんてないだけど。」
不意にできた沈黙に、俺が戸惑う数秒前に肩がじんわり滲んだ。
俺の言葉で泣いてしまう翔くんを離すわけがない。
ーfin
続く (更新停止中)
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作者名：すす | 作成日時：2020年11月15日 18時
