ぜんじつ ページ19
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いよいよ明日に迫った発売日。
ネットニュースでも検索をかければ
『飛田さくら 2年ぶり待望の新作明日発売___』
なんて記事が見つかるくらいだ。
「、、ぅ、、はっ、、ん」
目の前の翔くんは一昨日からほとんど何も口にできず｡
今も布団の中で体を丸めている。
湯たんぽを抱えさせているけど冷たい額には冷たい汗が滲み、それを拭いて、適度に水分を摂らせて。
ニノの『明日いつでもいいから連れて来て、今は外に連れ出すより家の方がいい』の言葉を信じてお粥を温める。
体を起こさせて支え、ほかほかの玉子がゆを目の前に持っていこうとも首を捻って食べてくれない。
せめてもと一緒に持ってきたコップ一杯の白湯を5分かかって飲ませた。
「どうした？」
休めてるのかわからない体を強ばらせたままの睡眠から覚めた翔くんは俺の手を掴む。
「トイレ？」
頷いたのを見て屈めながらゆらゆら歩く背中を支えて連れていけば、翔くんは予想外にもペタンと床に座り込んだ。
吐き気も来たか。
案の定水ばかりを吐き出して。
まだひくひく揺れる背中と同時にえずかされては吐いてを繰り返している。
背中をさすって、胃を締め付ける手をほどいて俺の手を当てて、たまらなくなって横から抱きしめる。
「大丈夫。大丈夫だから｡」
戻った布団の上で胃痛に加えて吐き気に耐える翔くんにも水分は摂らせなきゃいけなくて。
それは翔くんもわかってるからちびちびぬるいスポーツドンクを飲んでくれる。
それも１時間しないうちに今度はベット脇に用意した
洗面器に吐いて、思い出したように胃痛に苦しんで、
必死に水分摂って、吐き気に耐える。
結局最後は横になれなくて、背中を壁に預けて2人で
うとうとした夜を明かした。
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作者名：すす | 作成日時：2020年11月15日 18時
