こもれび (ページ18)

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すとれすページ18

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やっと開けてくれた口に薬を入れたんだけど、。

「、、くほっ、。」

拒否感で吐き出してしまった。

すぐだったから手で受け止めたけど、これ以上無理強いするのもかわいそうで。

「、く、、ぅ、、。」

それでも収まらない痛みに震える翔くんに何も出来なくなる。

「、、ぁ、。」

ずるっと胸から落ちそうになったのを機にそのまま俺の膝に倒れこませてやる。

両手をスリスリ擦り合わせて少しでも温度を上げてからから翔くんのみぞおち辺りに手を差し込んで温まるように｡

「大丈夫だよ。大丈夫。」

途端に膝が重くなる。

一瞬心配になったけど、痛みの落ち着きとともに寝ちゃっただけか。

まだ時折キュッと体を強ばらせる翔くんの胃を撫でながらブランケットを引き寄せる。

そういえば、いつも寝落ちした俺に必ずかかっているブランケット。今日は無かったな。

いつから一人で痛がってたんだろ。

いつもこの時期だ。

執筆時じゃなくて発売までもう少しの時期。

新作の注目度が高くて、ファンも多い。

その期待を翔くんはありがたいって言うけれど間違いなくプレッシャーになっている。

長い時間かけて、取材も重ねて、言葉を紡いで、物語を繋いで、そのひたむきな姿を知っている。

そうやって必死に作り上げたものが他人の評価の的になり、否定されたり、失望されたりするのを恐れるのは自信がないからなんかじゃない。

きっと人より少し優しくて少し繊細なだけ。

カーテンの隙間をくぐり抜けた陽が黄色からオレンジ色になってきたのと一緒に翔くんの寝顔もほんの少し穏やかになった。