おひるね ページ16
o
んー、寝ちゃってたか。
テレビには黒い画面に白字のエンドロールが壮大な音楽とともに流れていた。
インスピレーションに、って2人で借りてきた外国のミュージカル映画。
結局あのヒロインはどの男とくっついたんだ？
出てきた3人の男全員と歌って踊ってたけど。
結末を知りたくて隣の翔くんをつつく。
「最後、どうなった？」
こういう時、もうって顔して長くなるからって文字を打ち出してくれるのに。
今は眉を下げて困った顔をしている。
「あれ？翔くんも寝ちゃった？笑」
あくびを噛み締めながら言ってみれば少し間を空けてからゆるりと頷く。
間を空けて、？
少し慌てて肩を叩く。
そしてさっきより気持ちゆっくり、大きく口を開けて聞く。
「体調、悪い？」
首をゆっくり振ったけど、これは信じていいものか。
見れば見るほど顔色が悪いように思える。
食欲は、いつも通り、だっけ、？
えっと、昨日はそんなに遅くなったけか、？
「、っ、、。」
不意に響いた翔くんの張り詰めた息に、思考は引き戻され、ぱっと目を向ける。
「お腹痛いか？」
酷くなってきたのか今度はこくん頷いた。
「ごめんね。」
翔くんのみぞおちにニノに習ったように指を押し込む｡
「っんーーー、！」
ぐっと身を屈めて苦痛な表情の翔くん。
そんな翔くんにもうしないから、って伝える。
『ここね、ここ。
ここ、こうやって押してみて。
それで痛みが増すようならそれは＿＿＿＿＿＿』
くるならそろそろだとは思っていた。
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作者名：すす | 作成日時：2020年11月15日 18時
