おかえり (ページ4)

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「っわ。」

情けなく響いた俺の声にお構い無しに翔ちゃんはタオルをひったくる。

それを口に押し当てながら背中が揺れる。

「うー、ん、んぐ、、んー、、。」

えずくのを見て洗面器を手に取る。

「吐ける？」

首を振る翔ちゃんだけど、どんどん大きくなる波打ちを見てタオルを取り返す。

「うえ、ぇ。はぁ、、。はぁ、けほっ。んぇぇ。」

また空えずき。

でも。

回した手でお腹をそっと撫でるだけで、大きく動く体｡

「ごめんね。」

この言葉と一緒に胃のあたりを優しく押し込めば、
やっと吐き出し始めてくれた。

「おぇぇ。、、、ん、、うぇぇ、。」

「大丈夫だからね。」

洗面器が受け止めるのは液体ばかり。

ずっと吐けなくて苦しんでたのに、吐き始めると少しずつではあるんだけど止まらなくて。

収まったところでなんとか口をゆすがせて。

どさっと倒れ込む翔ちゃんをなんとか片手で支えてベットに寝かせれば、聞こえてくる寝息。

・

いろいろ片付けて戻って来て、翔ちゃんの隣にお邪魔する。

「、、、、まさ？」

「あ、起こしちゃった？」

「まさきぃ、。」

「ん？」

「、、おか、えり。」

「ふふ。ただいま。おやすみ。」

すー、と眠りに戻った翔ちゃんを横目に明日の病院予約をマネージャーに頼む連絡を入れる。

ヴー、ヴー、と俺の手元からじゃない音に翔ちゃんの携帯を取ると翔ちゃんのマネージャーからのLINEらしくて、迷った挙句予定変更だと困るからごめんねと思いながらパスワードを打ち込む。

ぱっと開いた画面いっぱいに開けっぱなしの俺の携帯番号。

それにため息をひとつ。

「すぐ出れなくても掛け直すのに。」

翔ちゃんに小さなデコピンをすると、少しだけ身をよじった。

その寝顔を見ながら俺も眠りにつく。