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ふと目を覚ますと、こちらを向いてる翔ちゃん。
中途半端に伸ばされた手の先の体は震えている。
「翔ちゃん？悪寒、、だよね？」
「、、に、、の、、、。さ、むっ、、。」
堪らなくなって腕の中に抱き留める。
すでに冬用のパジャマを着せて、布団もかさねてるけど、悪寒となればあまり意味はなくて。
だって体はこんなに熱を持ってるんだから。
もう、早く寝ちゃえれば。
熱い背中をさするのからトントンするのに変える。
疲れは正直で、ふぁ、とあくびが聞こえる。
「、、にの、、。」
「んー？」
「おもしろい、話して、、？」
「え、えー？笑」
「寝れる、おもしろい話。」
「難しいこと言うねー。笑」
どんな要求だよ、とは思うけど、俺だって今日翔ちゃんとあんまりおしゃべりできてないのさみしい。
寝れるおもしろい話ってなによ。
俺の中の一休さんもだいぶ困ってるよ。笑
「はやくー、。寝ちゃうよ、、、。」
いや全然寝てくれていいんだけどなー。
まあ１回決めたらしつこい翔ちゃんだから、早く寝かせる方法はひとつしかない気がする、ってなんだこれ｡
「んー、あのね、今日雑誌の仕事が最後だったんだけどー、」
「、、よっ、！」
「よっ！じゃないよ。笑
それでね、インタビューも受けるじゃん？
まあ、普通に答えてたの、いつもの感じで。
向こうも仕事だからさ、割と真剣な顔で、『次の質問いきますね？』って。
そんで。
そのままの顔で、礼儀正しく俺の目見ながら、
そう、こうやってね。
んで、
『夏ということで、、、
自分は冷やし中華の具なら何だと思いますか？』」
「ふふふっ、。」
翔ちゃんの目を見ながら、少しだけ神妙さを誇張して言ってみたらしっかり笑ってもらえた。
良かった。
無言とか失笑とかになったら大惨事だからね。
「はい、おもしろい話でした。」
さ、寝て寝て。
「ね、なんて答えたの？」
「別になんでもいいでしょうよ。笑」
「えー、気になって眠れないよ？」
あなたね、さっきから睡眠人質にとってくるけど、一番困るの誰だと思ってるのさ。
「まあ、『錦糸玉子、ですかね？』って。」
「ふふ。」
「ほら、もう寝れる？」
「んふふ。、、、だーいすき、、！」
え、寝るの？それ残して寝ちゃうの？？
今度いっぱい作ればいいの？？
もしや俺が、だったりする？？
無きにしも非ずじゃん！
ちょっと；俺が寝れないよ翔ちゃん！！
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作者名：すす | 作成日時：2020年8月1日 9時
