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烏龍茶を飲む姿さえも儚げな翔ちゃんはため息をひとつ。
「帰ったら、いっぱい謝ってくれると思うんだ。」
「大野さんが？」
「そう。
今日も一日中何も手につかなくて後悔して過ごしただろうし、連絡が来ないのもちょうどいい言葉が探せなくて直接言いたいってなってるからだと思うの。」
自惚れすぎかな？でも、そんな気がするんだけど、と小さく笑った。
なるほどね。
「謝られて終わりにしたくないから、こうやって俺を捕まえたんだ？
どうせ、俺のスケジュールも知ってたんでしょ。」
「ふふ。ニノはすごいね。笑
資料は受け取れればいつでも良かったんだけど、時間も合わせて、ね。五分五分だったけど。」
じゃあ、真の本題はことの成り行きじゃなくて、翔ちゃんの思いってことか。
俺の聞く体勢に気づいてか、翔ちゃんはありがとう、なんて言って話し出した。
「俺の生活は『仕事か智くん』そのものだよ。
俺はね、なんでも楽しめるの。
ドラマも映画も演劇も音楽もスポーツもどれを観るの好きで、感動する。
友達と飲んだり、遊びに行ったりするのも好き。
だからどれかひとつを選べなくて、『求められる』仕事に熱中しちゃうの。
俺が選ばれたからには期待に応えたい。期待以上の働きをしたい。だから、できるだけ仕事は受けたいし、その全てでできることは全部やりたいし、全部やってるつもり。」
まあそれで単純に体調心配した大野さんに怒られてるのは何回か見た事あるけど。
「ありがたいことに仕事でスケジュール埋まったりして｡
で、家に帰ると智くんがいるでしょ。
でも家でも仕事関係のことしてる時は多いし。
だから、智くんからしたら俺は仕事か智くんかって感じなの。
まあ、実際そうなんだけど。」
んー、納得できるような、できないような。
「智くんはね。、釣りとか絵とか趣味にも仕事ぐらいって言うと変だけど、縛られない、求められない世界に熱中できるの。」
尊敬の眼差を感じる。
「でも翔ちゃんは、仕事でもないのに構ってもらえないの寂しかったりしないの？」
「全然。笑
一日中いないのとか、周りの音聞こえないくらい集中したり部屋に籠ったりするのは多少心配はするけど。
俺は、智くんの隣にいる時間が少しでもあればいい。
智くんの優先順位の4番目くらいがいいの。
心の片隅に留められてなくていいし、むしろ必要ない時は忘れてほしいくらいだよ。」
「まあ、でも、究極、、。」
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作者名：すす | 作成日時：2020年8月1日 9時
