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恐る恐るドアを開ければ、翔ちゃんはテレビを見ていた。
怒って、る？
「雅紀、髪乾かしなよ。」
そう言ってするっといなくなるから相当怒らせたかなと思っていると意外にも早く帰ってきて、ドライヤーを手渡してくれた。
「翔ちゃんがやってくれないの？」
「自分でやってくださーい。」
「いつもやってくれるのに？」
「いつもなんか笑うじゃん。」
「くすぐったいからでしょ？」
「嘘つき。」
はい。均等に乾かせないし、乾かし終わりにもはもはに広がった髪の前で困惑する翔ちゃんが面白いからです｡
俺の髪質かな？
翔ちゃん自分のそこまで変にならないしね。
自分で温風当てながら隣を見ても、そこまで怒ってる感じはしない。
安心。安心。
「良かった。翔ちゃんもう怒ってないね。」
「なんで全部口に出しちゃうの？」
「好きとか愛してるとか思ったこと全部女は言ってほしいもんなんでしょ？笑」
「俺、女じゃないし、。」
「わっ、こんなことで拗ねないでよ。こっち向いて。｣
ほっぺを掴んで向かせれば少し睨み顔。
「もう、今日怒られてばっかり。
そんなにキス嫌だったなんて雅紀くんショックー。笑｣
楽しげに言ったのにいつもみたいに笑ってくれない翔ちゃんに焦る。
やばい、どれが地雷？
顔をぶるぶる振って俺の手から抜け出して、もう完全にそっぽを向いた。
いつも機嫌がいい分、１回拗らせると長い翔ちゃんに今のうちに手を打ちたい。
「ごめんごめん、翔ちゃん。
今日はオムライス作ろっかなー。そうなると材料足りないから買いに行くついでにロールケーキも買ってこようかなー？」
やめて。沈黙。
「怒ってないし、。」
「へ？怒ってないの？」
「怒ってる。」
ん？
「えっと、キスに怒ってるんだよね？」
「キスに怒ってないけど！！キスに怒ってるの！！」
「えー。何？なぞなぞ？笑」
「もう知らない！！！！」
「え、待って待って、！」
逃さまいと手を抑えつければバランスを崩して前かがみになった翔ちゃんの上目とぶつかった。
なんで今日こんなにおいしそうなの？？
このまま手首を掴んで後ろに転ばせてもいいものか考えてると、小さな声がした。
「俺だって、、」
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作者名：すす | 作成日時：2020年8月1日 9時
