おかえり (ページ2)

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もう自分で自分を支えるのが難しいのか完全に体重を預けてきた翔ちゃんをしっかり抱き直す。

くいっと服が引っ張られて青さを増した翔ちゃんの顔がこちらを向いた。

「、さむ、い。」

そう訴える翔ちゃんは既にパーカーを羽織っている。
この部屋のクーラーもつけていないから俺なんて汗ばんでいるのに。

「お布団行こっか。」

よいしょ、と抱き上げるとコトンと翔ちゃんの携帯が落ちた。

今は拾えそうになくて、ベットに向かって少し迷ってから体を寝かせた。

いつものタオルケットに追加して毛布も引っ張り出して上にかける。

「すぐ温かくなるからね。」

かわいそうだけど部屋を出て、洗面器に袋被せて、タオルと水を持って、白湯も作って、体温計も掴んで。さっき落ちた携帯も拾って。

薬箱を探してもそう都合良く吐き気止めなんて無かった。

んー、んー、と小さく唸る翔ちゃんに体温計を挟み込む。

「これ汚していいやつだよ。」

そうやってタオルを渡せば、それを口にあてて吐き気を耐えている。

この状況に似つかわしくない軽快な音を立てた体温計の示す数値は35.5。普段から平熱が低い翔ちゃんにしても低い。

「翔ちゃん。体起こすよ。」

さっきみたいに抱き起こして姿勢を安定させて、まだあてがってるタオルを引き取って白湯を引き寄せる。

「、、っうぅ。」

「少し冷ましたから大丈夫だよ。」

「ぅぅえ。っはぁ、、。」

「ほら、ゆっくりね。」

白湯の湯気にさえも吐き気を誘発されててかわいそうだけど、体温も心配だし、このままってわけにはいかないから、口元に運ぶ。

「そう、上手。上手。」

ゆっくりゆっくり様子を見ながら飲ませると、その温かさに少しほっとしたみたいで表情も和らぐ。

目もとろんとしてきたからこのまま寝つくかな。